日立、セコム損保の基幹システムをメインフレームからプライベートクラウドにマイグレーション
株式会社日立製作所(以下、日立)は7日、セコム損害保険株式会社(以下、セコム損保)の基幹システムを、メインフレームからプライベートクラウドにマイグレーションし、新環境の構築を完了したと発表した。 日立では、近年、多くの国内企業が、既存のメインフレーム上のプログラム肥大化・ブラックボックス化によるシステム開発の高コスト化・長期化、DX化にあたってのデータ活用の制約、ならびにメインフレーム技術者の高齢化などの課題を有していると説明。セコム損保においても、30年以上にわたりメインフレーム上で、保険契約者の契約情報などを管理する現行の基幹システムを稼働してきたことで、同様の課題があったという。 そこで、セコム損保は、これらの課題を抜本的に解決し、DXを推進するため、次期システム構想を検討。そのファーストステップとして、日立はセコム損保の抱える課題解決を目指し、2021年10月にプライベートクラウドへのマイグレーションプロジェクトに着手した。 マイグレーションプロジェクトにおいては、日立が、これまで多くの顧客のプラットフォーム移行を支援してきたマイグレーションサービスを活用することで、移行対象プログラムのスリム化を実施した。これにより、効率的かつ安全・確実なマイグレーションを実現した。 日立のノウハウを集約した解析技術を用いたプログラム仕様可視化サービスにより、従来メインフレームにおいてブラックボックス化されていた、プログラム呼び出し/ジョブフロー/画面遷移情報を分析し、既存のメインフレーム上におけるプログラムの棚卸しを行った。これにより、不稼働プログラムの特定などが可能となり、移行対象プログラムの規模を半分程度にスリム化した。 さらに、移行性分析により、セコム損保の基幹システムにおけるプログラムの特性を考慮し、移行方法やツールの精度向上を図り、最適な移行作業を実施した。 その後、日立が一定期間にわたって、新環境における24時間のシステム稼働監視を行い、セコム損保とともに業務影響を見極めながら即時対応を実施した。その結果、業務に影響を与えることなく安定稼働を実現し、2021年10月に着手したマイグレーションプロジェクトを、当初の予定通りに完了した。 セコム損保はこれらの安定稼働により、メインフレーム技術者の確保に関する課題解決のほか、クラウド環境を前提とした最新の技術活用や、システムの拡張性向上などのメリットを享受できるようになったと説明。これらにより、保険商品開発時の保守性・迅速性やDX化の制約などの課題解決に向けて、現在検討を進めている次期システム構想を、次のステップに進めることができるようになったとしている。 今後、日立は、長年の実績に加え、今回のマイグレーションプロジェクトを通じて得られた知見・ノウハウを生かし、金融機関をはじめとしたミッションクリティカルなシステムのマイグレーションプロジェクトに取り組む顧客の、マイグレーションやモダナイゼーション、さらにはDX推進を支援していくとしている。
クラウド Watch,三柳 英樹