三菱重工、出戻り大歓迎で応募殺到 退職者は「悪者」じゃない
新たなカタチの縁故採用として広がる「ネオ縁故」。その一種で一度退社した社員を再雇用する「アルムナイ(卒業生)採用」も、縁をたどる企業にとっての新たな採用チャネルに育ってきた。業務内容や企業カルチャーを知るOB・OGに採用の門戸を開いておくため、コミュニティーをつくる動きが広がる。 【関連画像】「リンクトイン」はビジネスパーソン向けSNSとして普及している(写真:Chinnapong/stock.adobe.com) 人材サービスのパーソルキャリア(東京・千代田)は2月、自社の退職者が集うアルムナイコミュニティーの交流会を開いた。専用サイトでつながっている人々を対面式のオフ会に呼び、コミュニティーを盛り上げる目的だった。 今回は人事や経営企画など転職先の管理系部門で働く人限定で参加者を募集。自動車や製薬など多様な企業に籍を置く人たちがにぎやかなひとときを過ごした。「パーソル時代、仕事は忙しかったが濃いつながりも多かった。集まる機会があると顔を出したくなる」。ある参加者はこう話した。 ●「卒業生」は貴重な人材プール 多い年には1000人前後を採用するパーソルキャリアにとって、アルムナイは貴重な人材プールだ。23年4月にコミュニティーを発足。「キャリアオーナーシップ(働き手が自らのキャリアを会社任せにせず主体的に考え行動すること)を尊重しつつ良い採用につなげたい」(採用企画部の砥上貴恵氏)という。すでに約1000人が登録しており、約30人が同社に復帰した。 サイトでは採用情報以外に副業募集や再入社社員のインタビューを発信するが、アルムナイ同士のメッセージ交換もできる。同じ会社で働いた経験を共有しているため一般のSNSより連絡のハードルも下がる。「緩くつながると得」な場づくりが会社やコミュニティーへのエンゲージメントを高め、結果的に採用につながっている。 いったん他の企業や業界でキャリアを積んだ上で再入社した働き手は組織に新しい風を吹き込む存在だ。プロダクト企画部の清水彩氏は、「再入社の人が多いと学び合う風土が育まれて刺激になる」と話す。自身も転職先でベトナム人の開発チームを率いるなどして組織運営力や英語力を磨いた。 アルムナイ採用には下の表のように大きく分けて2種類ある。アルムナイコミュニティーのサービスを手掛けるハッカズーク(東京・新宿)の鈴木仁志社長は、「交流型」の魅力について「会社のファンであり続けてもらうきっかけになる」という。