三菱重工、出戻り大歓迎で応募殺到 退職者は「悪者」じゃない
政府のデジタル庁は公募による採用と合わせ、22 年からリンクトインを活用してデジタル人材の採用につなげた。「採用はブランディング。SNSで積極的に情報発信し、将来の転職候補者を育てる」(田中氏)という発想が大事だ。リンクトインでは、多くの企業が公式アカウントを開き、事業内容や求人情報、世間の関心が高いESG(環境・社会・企業統治)活動などについて投稿している。 ●問われているのは会社の魅力 田中氏が「発信が上手」として名前を挙げるのがNECの森田隆之社長だ。英語で頻繁に投稿し、経営トップとしての考えを発信している。森田氏は3月8日の国際女性デーで社内イベントに参加。リンクトイン上にもビジネスにおける多様性の大切さについてメッセージを投稿した。こうした顔が見える取り組みは、今は転職意思がなくても会社の潜在的なファンづくりや縁づくりにつながる。 リクルートのアンケート結果では、人事担当者が課題と考えているテーマで「中途採用」の回答率が「新卒」を上回った。 一定の社会経験を積んだ働き手を対象とする中途採用には、新卒採用とは違う難しさがある。大企業に特化した転職プラットフォームを運営するBloom(東京・渋谷)の平原俊幸代表取締役は「業界を代表する大企業でも中途採用で悩んでいる」と話す。別の業界から欲しい人材を発掘するのが難しいといった事情があるという。 総務省は潜在層も含めた転職希望者が23年に1000万人を超えたと発表した。国内就業者の約7人に1人だ。大転職時代を迎え、中途採用の重みは増している。今どきの「ネオ縁故」の成否は既存の社員や退職者らを会社のファンとして味方にできるかどうかにかかっている。問われているのは、あなたの会社の魅力なのだ。 =記事中の部署名・肩書などは取材時点
薬 文江、西岡 杏