中村憲剛×山根視来スペシャル対談。バルサ育ちのリキ・プッチの凄みから、MLSの可能性まで。日本人選手のアメリカ挑戦は増えるのか?
「リッキーの味方の活かし方は凄い」
中村憲剛と山根視来のスペシャル対談もいよいよ最終回。山根が語るチームメイトの凄みやピッチ外のエピソードとは。さらに先輩の中村からの温かなメッセージなども。ふたりの今後の目標なども語り合ってもらった(全4回/4回)。 【PHOTO】両軍、クラブを発つ監督に勝利を!負けられない最終戦は家長・小林のゴール含む3得点で川崎が有終の美を飾る!|J1第38節 川崎3ー1福岡 ――◆――◆―― 中村 ミキは何歳だっけ? 山根 今年31です。 中村 若いなー!伸びしろしかないじゃん!! 山根 ケンゴさんはいつもそう言ってくれるから、すごく嬉しいんですよ。 中村 だって俺は40歳まで現役でやったから。 山根 30を超えると、周りからの見られ方も変わりますが、まだまだってことですよね。 中村 31歳だってここから上手くなるから。俺が風間(八宏)さん(川崎の前監督)と出会ったのは32歳の時だからね。だからミキだって、ロイスや他のチームメイト、対戦相手らに引き出してもらえるはずだよ。自分次第のところもあるけど、ミキは気持ちが強くて、常に成長しよう、吸収しようと考えている選手だから。 山根 例えばリッキー(リキ・プッチ/バルセロナ育ちの25歳)は、パスの質が高くて、2対1で味方を活かすのがめちゃくちゃ上手いんです。 中村 リッキー!? また格好つけたな‼ 腹立つ‼(笑)。 山根 実は神戸の選手たちがアンドレス(・イニエスタ)と呼んでいた姿に憧れていたので(笑)。 中村 イニエスタのことね。やかましいわ(笑)。 山根 でもリッキーの話に戻りますが、カウンター局面で味方をフリーにするパスがめちゃくちゃ上手いんです。 中村 優しいパスなの? 山根 ギリギリまで相手を引き付けるんです。そしてもう本当にシュートを打たれるとDFが飛び込んだところで、パスを出す。それを紅白戦で僕もよくやられています。だからカウンターで、例えば3対2や、4対3の局面でリッキーは自らドリブルしながら、フリーの味方をこれでもかと言うほど活かします。あれはなんなのでしょうね。 中村 だからそれをちゃんと言語化しなさい(笑)!! 山根 日本でもよく相手に仕掛けろと言われるじゃないですか。僕もよく2対1の状況でそうするんですが、リッキーのように上手くいかないんですよね。感覚的なものなのか、この間もやってみたんですが、僕が最後にパスした味方は、窮屈そうにプレーしていました(笑)。 中村 ちゃんとやりなさい(笑)!! ――そういうところに真の技術が詰まっているのかもしれないですね。 中村 向こうの選手って、止める・蹴るをやるわけじゃないよね? 山根 そうですね、見ないですね。 中村 トラップも浮いたりするでしょ。でもそれを信じられない技術力でカバーしたりする。 山根 確かに、そういう選手もいます。 中村 ナチュラルにできちゃう。それはセンスとしか言いようがないのかなと。 山根 でも、僕は止めて・蹴るは、ボールフィーリングを良くしたり、取り戻すために活用していて、やっぱり必要ですよね。フロンターレの時もしばらく止める・蹴るをやらないと、トラップやパスが上手く当たっていない感覚になって。だからこっちでも誰かを捕まえてやっています。 それに怪我で、水曜日ぐらいまで練習をせず、木、金で調整して、土曜の試合に出ることがありましたが、僕は下手なので日によってバラツキが出る。ちゃんとトラップできる日と、慌ててガチャガチャしてもう全然ダメだみたいな日がある。でもリッキーはまったくそんなことなくて、常に安定していますから。 中村 日常もあるんだろうね。要はそれをこぼしちゃう人は、競争から外されていくような。競争力は日本より激しく、質も異なるはず。椅子の奪い合いが日常茶飯事なはずだから、ひとつのプレーに対する意識も変わってくるんじゃないかな。そういうレベルの選手もMLSには多そうだよね。 山根 ヨーロッパに比べれば、っていうのは、もちろんありますが、日本人があまり知らない選手でもトップレベルの選手がどのクラブにも所属していてクオリティは相当高いと思います。 中村 そのなかで、MLSに日本人選手は増えるかな? 山根 めちゃくちゃ重宝されると思いますよ。 中村 ミキと同じくらいの英語力でもいけるわけだもんね(笑)? 山根 その通りです(笑)。