【ドラフト2024】上位候補の投手を名物記者が熱く語り合う。「異次元」と称した大学左腕は? 大型投手揃う高校生たちにも注目
【高卒のキーワードは「大型投手」。今朝丸裕喜と藤田琉生はプロ野球で"成功する気質"感じる】 加藤 では、高校生で上位指名されそうな投手だとどうでしょう。今年は、全体的に高校生投手のドラフト候補は少ないという声もありますが。 菊地 そうですね。でも、大型ピッチャーが多いんですよ。甲子園のスター選手で言えば、やはり188センチの長身右腕・今朝丸裕喜投手(報徳学園)の名前がいちばんに挙がります。 加藤 世代のトップランナーと言っても過言ではありませんよね。 菊地 それに、今朝丸投手のキャラクターもすごく気になっていて。受け答えの部分で掴みどころのない感じなんですよ。何回か囲み取材で質問したことがあるんですが、会話が噛み合ったことが1回もないんです(笑)。僕が「ストレートがすごくよかったですね」と聞くと、今朝丸投手からは「う~ん......今日はカーブがよかったです」と返ってきたり(笑)。ただこれは、ピッチャーで成功するための大きな条件でもあると思うんです。 加藤 プロ野球のエースたるもの、そういうほかとは違った世界観があるくらいでないと。 菊地 そうそう。マウンドという孤独な世界のなかで、大観衆が集まるスタジアムの雰囲気に惑わされちゃいけないわけですから。今朝丸投手は、いい意味で周囲の影響を受けないタイプ。そういう性格が、プロ野球で成功できる要因になるんじゃないかと。 加藤 我が道を行く、ですね。僕の推しである東海大相模の藤田琉生投手も同じようなことを言っていました。よく「どんなピッチャーになりたいですか?」という質問がありますよね。具体的にプロ野球選手やメジャーリーガーの名前を出す人が多いなか、藤田投手は「いません」と。「憧れたり、この人になりたいってなると、その選手に引っ張られて自分の積み重ねてきたものが崩れてしまう」と話していたんです。しっかりと自分を持っていて、「すげぇな~」と思いましたね。 菊地 そういう意味では、大谷翔平選手(ドジャース)のWBCでの「憧れるのをやめましょう」という演説が、アマチュア野球界にも浸透しているなとすごく感じます。 加藤 あらためて、藤田投手に関しては、甲子園史上最長身の198センチで、しかも左腕というところでは唯一無二。オンリーワンですよね。 菊地 この春から夏にかけての伸び方もすばらしかった。 加藤 今年の神奈川県大会決勝では横浜に勝って、涙を流しながらグググっと、一気に甲子園準々決勝まで駆け抜けていきました。 菊地 その後の侍ジャパンU-18代表壮行試合では自己最速の150キロを計測していますし、グングン成長してますよね。あとは、ご両親がどちらも180センチ超えの元バレーボール選手という。 加藤 お兄さんも192センチと大きいんですよ。だから、メディアはみんな囲み取材で高身長になった要因を聞いたりするんです。人によっては「牛乳を毎日飲んでいる」とか、いろいろあるじゃないですか。でも、藤田投手は「遺伝ですね」って。身も蓋もない感じではありますけど(笑)。今朝丸投手もそうでしたが、プロ野球で生き抜くための素質というか、自分の世界を持っているので、このふたりは本当に楽しみな存在ですよね。