【ドラフト2024】上位候補の投手を名物記者が熱く語り合う。「異次元」と称した大学左腕は? 大型投手揃う高校生たちにも注目
【金丸"対抗馬筆頭"は中村優斗。ストレートに自信がつき「本物」に】 菊地 金丸投手の対抗馬としては、愛知工業大の中村優斗投手の名前を挙げたいです。 加藤 最速159キロですよね。もう160キロ出しちゃいなよ、という世界ですよ。 菊地 ただ僕は正直、そのストレートの凄さをあまり理解できない状態が続いていたんですよ。というのも、もちろん何回か直接見させてもらっていますし、彼の150キロ以上のボールも見ています。ですが、これはあくまで僕の印象なんですけど、球速以上に速く感じた金丸投手とは逆に、中村投手のボールは数字ほどの速さが出ているようには見えなかったんですよ。どちらかと言うと、変化球がものすごくいいイメージでした。変化球のバリエーションが豊富で、落ちる球は速くて、スライダーもすばらしい。けれど、ストレートがどうしても......。そんなイメージをずっと持っていたのですが、今年6月の侍ジャパン大学代表の選考合宿で彼を見た時、ガラッと印象が変わったんです。 加藤 平塚で行なわれた選考合宿ですよね。我々報道陣もみんなびっくりしていました。 菊地 そうですよね。僕もその時の投球を見た瞬間「あ、やっぱり中村投手はいいな」「自分の目は節穴だったな」と思いました。 加藤 全国から集まって、腕まくりをしながら「やってやるぜ!」と気合の入ったバッターたちが、みんな(バットに)当たらない。 菊地 ボールの圧というか、迫力がちょっと違いましたよね。 加藤 当たらないから凡打にすらならない。あれは本物だなと。 菊地 みんな将来有望な大学生なんですけど、「中村さん、胸を借ります!」みたいな感じでバッターボックスに入っているような、ひとりだけ格上が混じっているような、そういう雰囲気でしたね。金丸投手がケガで招集されませんでしたから。 加藤 そういう意味では中村投手が主役の選考合宿でしたね。 菊地 いままでの僕は見る目がなかったと思って、選考合宿が終わったあとにストレートについて聞いてみたんです。そうしたら、中村投手自身も選考合宿までストレートに自信を持てていなかったらしいんですよ。 加藤 それって、めっちゃ美少女なのに、自分の可愛さ、美しさに気づいてない女の子みたいな感じですよね(笑)。自分に自信がないかもしれないけど、周りから見れば、オスカープロモーションで即実戦デビュー、東宝シンデレラオーディションならグランプリを取れるぐらいの人材だよっていう。 菊地 その例えで続けると、まだその時点で自分自身の見せ方、メイクの仕方に対して自信が持てなかったんだなと。でも、選考合宿でようやく「自分のストレートはこれだ!」というのを見つけられた。もう鬼に金棒ですよ。あのすばらしい変化球がさらに活きますから。