2023年のドル円相場は思ったほど「円高」が進まない?
2013年4月、就任当時の黒田日銀総裁。あれから10年が経とうとしている(写真:ブルームバーグ)
2023年の相場の注目点の1つは、昨年秋に歴史的な円安水準に到達したドル円相場がどうなるかだろう。 今のところ、「2023年の前半はアメリカでFRB(連邦準備制度理事会)による急速な利上げが景気の悪化をもたらす→FRBのターミナルレート(=政策金利の最終到達点、昨年12月時点の中央値は5.125%)が前倒しとなる→2023年後半からは利下げ期待が高まる」というシナリオが前提となる。 一方の日本は、4月8日の任期満了を前にした黒田東彦日銀総裁が、昨年12月20日に突如イールドカーブコントロール(YCC)の幅を拡大し、約10年続いた超金融緩和政策の修正(実質利上げ)に動いた。このことは、投機筋に大きな衝撃を与え、円安進行のピークアウト感を一気に強めたとみられる。 こうした中、2023年のドル円相場は「年前半は日米金利差から円高圧力が続く可能性が高いが、年後半からはアメリカの景気回復期待からドルが持ち直す」というのがメインシナリオとなろう。 しかし、それはアメリカ経済が深刻な景気後退(ディープリセッション)に陥らないというのが前提になることはいうまでもない。このため2023年のドル円相場は「1ドル=150円超えはないが120円割れもない」というのをメインシナリオとしたい。そこで、以下に予測の背景となる過去の2つの事例(2013~2016年、2006~2007年)などを紹介しながら、改めて為替相場の行方と物色の方向性について考えてみた。
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中井 裕幸