“うなぎ”で147人が体調不良、うち1人が死亡 「食中毒」になると現れる症状・対処法を医師が解説
食中毒に対処する時のポイント
編集部: 家族が食中毒になったらどうすれば良いですか? 中路先生: まずはすぐに医療機関を受診しましょう。決して自己判断で、下痢止めなどを服用しないようにしましょう。先述したように、下痢・嘔吐・発熱は、体内のウイルスや菌を排出するための役割があります。 そのため、自己判断でこれらの薬を服用してしまうと、食中毒の悪化を招いてしまいます。薬の服用は行わず医療機関を受診しましょう。 また、しっかりと休息をとってもらうことも重要です。下痢や嘔吐がおさまるまでは、身体を休めるようにしましょう。そして、水分補給をできるようにフォローすることも大切です。 下痢や嘔吐などにより脱水になる可能性があります。予防するためには、こまめな水分補給が大切です。さらに、家族内での感染を防ぐ必要があります。基本的には直接の接触を避け、便や唾液などを直接触らないようにしましょう。定期的に消毒することも大切です。 編集部: 放置していたらどうなりますか? 中路先生: 放置した場合、食中毒が重症化して最悪死に至るケースが考えられるため、決して放置してはいけません。細菌性の食中毒の場合、腸炎などを引き起こす可能性があります。 また、子供や高齢者であれば菌血症などの合併症を引き起こす可能性もあるのです。命にかかわるリスクが高くなるため、決して放置しないようにしましょう。 編集部: 食中毒を予防するポイントを教えてください。 中路先生: 食中毒を予防するためのポイントは、次のようなものが挙げられます。 ・清潔にすること ・早めに調理すること ・温度を管理すること まず、調理に伴う道具などを清潔にしておくことです。こまめな手洗いも忘れないようにしましょう。調理器具は定期的に消毒しておくことで、菌の繁殖を防げます。 次に、早めに調理して、食中毒菌が増殖する時間を与えないようにしましょう。購入した食材は、賞味期限内で使い切ることが大切です。そして、調理後も温度管理を行って菌の繁殖を防ぐようにしましょう。 常温での長時間放置は、細菌が増殖しやすいです。常温ではなく、冷蔵庫などに入れて保存しましょう。また、食べる際には再加熱することで滅菌することができます。菌が産生した毒素は分解できませんが、菌自体は死ぬため十分な加熱は非常に重要です。 編集部: 最後に、読者へメッセージをお願いします。 中路先生: 食中毒は、細菌やウイルスなどの感染により起こる病気で、誰しも発症の可能性があります。多くは対症療法により治癒が見込めますが、適切な治療は自己判断では難しいです。 解熱剤などの薬を使用しては、さらに食中毒の悪化を招く可能性があります。そのため、異変を感じた場合にはすぐに専門の医療機関を受診しましょう。早期に受診することで適切な対症療法が行え、感染拡大も防げるでしょう。