“うなぎ”で147人が体調不良、うち1人が死亡 「食中毒」になると現れる症状・対処法を医師が解説
食中毒の診断と治療方法
編集部: 食中毒と判断するポイントはどんなところですか? 中路先生: 基本的には医師による判断の方が、確実に食中毒であるかを判断できます。しかし、自分でも次のようなポイントで判断が可能です。 ・食中毒の原因となりそうなものを口にしているか ・同じものを食べた方にも同様の症状があらわれているか まず、食中毒の原因となりそうなものを口にしているかどうかが挙げられます。症状が現れた時期をもとに、直近で食べたものを思い返してみると良いでしょう。牡蠣やアニサキスがいる魚(サバなど)などを口にしているようであれば、食中毒が考えられます。 また、同じものを食べた方にも同様の症状が現れているかも判断のポイントです。一緒に食事した方にも症状が現れているのであれば、食中毒の可能性が高いです。 編集部: 検査をするときはどんなことを行いますか? 中路先生: 主な検査内容は、次のようなものが挙げられます。 ・血液検査 ・尿検査 ・画像検査 ・便培養検査 体内の炎症の強さ・肝機能機能・腎機能を確認するため、血液検査や尿検査を行うのが一般的です。金属などの化学物質による食中毒が疑われる場合には、体内のイオン濃度を調べる場合もあるでしょう。画像検査は、レントゲン・CT検査・内視鏡検査を行います。 食中毒で発症する下痢や嘔吐は、他の病気によっても発症します。そのため、他の病気の存在を確認するために画像検査を行うのです。アニサキスでは虫体を取ることで治癒しますし、カンピロバクター腸炎では回盲弁のびらんなど特徴的な所見が見られます。 また、腸の炎症症状の度合いを調べることもできるので、他の炎症性腸疾患との鑑別にも有用で食中毒の重症度も確認できます。 便培養検査は、便を採取してウイルスや細菌の正体を特定する検査方法です。食中毒の確定には必要で、治療方針を決めるためにも非常に重要です。 編集部: 治療の方法を教えてください。 中路先生: 食中毒の治療方法は、基本的には水分補給や点滴などの対症療法が行われます。重症化が懸念される場合には、原因に対する抗菌薬を使う治療と点滴などを併せて行います。 しかし、水分補給や点滴などの対症療法であっても、身体の機能により下痢や嘔吐によって体内の菌を排出しようと働いているのです。そのため、対症療法が基本的な治療となります。