【40代、50代・上手に怒ってストレス減! 】部下への指示はどうするのが正解?
すれ違いを避けるには密度より会う頻度
「こうしたすれ違いや、1 の指示で10の結果が出せるようになるには、何より信頼関係が重要です。コロナ禍を経て、リモートでの仕事が増えてきました。そんな中で実際に会ってのコミュニケーションの大切さも見直されています。 ある調査によると、1週間に1 時間の丁寧な話し合いよりも、毎日2~3分のたわいない会話のほうが、ずっと信頼関係が築けて、生産性が上がるというのです。 あのリモートで有名なZoomの会社では、フルリモートワーク会議が禁止されたといいます(笑)。密度よりも会う頻度が大切だというのです」
「私」を主語にすると相手は受け入れやすい
「もうひとつ、『I(アイ)メッセージ』で伝えるという手法があります。これは英語の『I=私』を主語にして相手に伝えるものです」 例えば、ミスをした部下を叱るとき、「あなたは社会人としての自覚が足りない!」と『あなた』を主語にするのではなく、「これだと私が困るんです」と『私』を主語にしたほうが、相手を責めるニュアンスが減り、リクエストが伝わりやすいというもの。 「自分と相手の両方を尊重しながら、具体的なリクエストが伝わりやすいと言われています。しかしながら、これは主語を重視する英語ではわかりやすいのですが、主語を省くことが多い日本語では、必ずしも当てはまらないこともあります」
ご近所やママ友の付き合いは、嫌なら逃げる!
「自分と違う価値観を持つ人と触れ合うことも、自分の許容範囲を広げる意味で、アンガーマネジメントには大切なことです。しかしながら、どうしても付き合うのがつらい場合は逃げることも手段のひとつです。 会う頻度や時間を減らしたり、触れたくない話題を避けて、当たり障りのない会話に終始するなど、付き合い方を変えるといいでしょう。 逃げることは卑怯なことではありません。それにより怒りの感情が減り、心が平穏に過ごせるのなら、その選択肢はありです。 相手が誰であれ共通することは、感情任せに怒りをぶつけたり、相手を打ち負かすことを目標にしないことです。それには、常に落ち着いて、低い声でゆっくりと話すことを心がけるといいでしょう」 【教えてくれたのは】 安藤俊介さん アンガーマネジメントコンサルタント。一般社団法人日本アンガーマネジメント協会代表理事。新潟産業大学客員教授。怒りの感情と上手に付き合う理論と技術をアメリカから導入。教育現場から企業まで幅広く講演、研修、セミナー、コーチングなどを行う。ナショナルアンガーマネジメント協会では世界で15名しか選ばれていない最高ランクのトレーニングプロフェッショナルの唯一のアジア人。『[図解]アンガーマネジメント超入門 怒りが消える心のトレーニング』(ディスカヴァー・トゥエンティワン)など著書多数。 イラスト/カケハタリョウ 取材・原文/山村浩子