<リオ五輪>20年ぶりの下克上を続ける女子バスケのメダル可能性
女子バスケットの日本代表が快進撃を続けている。初戦は世界ランキング10位のベラルーシを16位の日本が77-73の僅差で振り切り、第2戦は、開催国でランキング7位のブラジルを82-66のスコアで圧倒。いずれも、ランキング上では格上の2か国に連勝して、決勝トーナメント進出を果たした1996年のアトランタ五輪以来の2勝を挙げた。勝てば1次リーグ突破が決定する戦いとなったトルコには、62-76敗れたが、正念場と言える強豪の2か国、オーストラリア、フランスとの結果次第では、メダルの可能性さえ見えてくる大健闘を見せているのだ。 平均身長177cmは、グループリーグの参加6か国中、最下位。平均年齢でも、24.7歳と最も若いチームは、なぜ奮闘を続けることができているのか。 アトランタ五輪に出場した原田裕花さんは、このチームの特徴を「日本の特徴はスピード。デイフェンスから走るオフェンスに展開するバスケットです。1、2戦目は走れて勢いがありました。PG の吉田選手が、中心となってリズムを作り、海外でプレーしている渡嘉敷選手が、今回は最初からチームに適応しています。チームは、グループリーグを抜けるため に最低必要な2勝をベラルーシとブラジルから挙げることをターゲットとしていましたので、最低目標はクリアしました」と、まとめた上で、リオ五輪出場決定後 からの成長点を以下の5つだと分析している。 1 デイフェンスの戦術徹底 2 セカンドメンバーのレベルアップ 3 高さ パワーへの対応力アップ 4 リバウンドの向上 5 ミスが少なく切り替えがスピードアップ 「最初の2試合は、中はしっかりと絞ってプレーをさせず、外は打たせても仕方がないいというディフェンス戦術を徹底して、1対1でプレッシャーをかけ続けま した。結果、ベラルーシは、後半にばててシュートの精度が落ち、ブラジルの攻撃はどんどん雑になりました。相手を苦しめ走るバスケットにつなげたので す」 ベラルーシの第3、第4Qのフィールドゴール成功率は33パーセントとガタっと落ちていたし、ブラジル戦も、重要なスタートの第1Qのフィールドゴール成功率を徹底したディフェンスで38パーセントに押さえ込んでいた。 「交替で出てくる選手が、いい形で役割を果たしてアクセントとしてチームに勢いをつけたのが目立ちました。高田選手は、4番ポジションと言われるPFですが、遠くからのミドルシュートも決め、ドライブプレーもできていました。相手が嫌がるプレースタイルで、渡嘉敷選手、吉田選手らにマークが集まる中、高田選手が相手チームを揺さぶりました。栗原選手のスリーポイントシュートの精度も上がりました。これまで、プレッシャーの中でどう決めていくかが課題でし たが、やっと来たなという印象です。勝負強いシュートが目立ちました。また近藤選手も攻めの意識が高くコートに入ると必ず点に絡み戦力になっています。長岡選手も役割を果たしています」 身長183cmで日本の中では高さのある高田はベラルーシ戦では12得点、ブラジル戦では14点とコンスタントの得点をマーク。いわゆるインサイドプレーヤーがローテーで回ることで、プレースタイルの違うメンバーがデイフェンスをゆさぶりチーム全体の得点力アップにつなげた。 また栗原もベラルーシ戦ではスリーポイントシュートが当たってチームトップとなる20点のスコアメイク。アジア選手権から大きく成長した一人だ。 さらに原田さんが注目しているのが、司令塔、吉田のバックアップでプレーしている町田の存在で「町田が持ち味を発揮しています。スピードのテンポアップであったり、彼女が入ると、必ず流れを作っていて、いいアクセントになっています。吉田の負担(疲労やファール)を軽減できるのも大きい」という。