奥能登地域の酒蔵、再建へ歩み 地震で被災、仲間の力借りながら
日本四大杜氏の一つ「能登杜氏」を輩出してきた石川県の奥能登地域の酒蔵は、元日の能登半島地震で大きな被害を受けた。地元の杜氏たちは酒造りの伝統を絶やすまいと、県内外の仲間の力を借りながら再建の歩みを進めている。苦境の中、「伝統的酒造り」が無形文化遺産に登録されたことに喜びを口にした。 同県輪島市河井町の「日吉酒造」は能登半島地震で設備が全壊。在庫も9割失った。杜氏の日吉智さん(50)は途方に暮れたが、能登半島の酒蔵と県内外の複数社が共同で酒造りを行うプロジェクトに参加。「藤井酒造」(広島県竹原市)や「上川大雪酒造」(北海道上川町)に原料米などを持ち込んで醸造を進め、日吉酒造の代表銘柄「金瓢白駒」などの販売にこぎ着けることができた。 家業を継いで杜氏になった日吉さん。「毎年違う米、違う気候で同じ品質を保つことは難しい半面、面白いこと」が酒造りの魅力だ。全壊した蔵は地震発生から11カ月が過ぎた今もそのまま。輪島での酒造りへ道のりは長いが「諦めるなという全国の応援が力になる」と前を向く。