「日本なくしてNVIDIAはなかった」 フアンCEOが語った真意は?
ロボット革命に期待
AIが活用できる分野としてロボット産業を重視していると話し「これからはAIを実装したロボット革命が起きる」と将来を見据えた。具体的には「ロボットが進化することにより、デジタルAIエージェントと、フィジカルAIエージェントの2つが生まれる。デジタルエージェントは従業員の代わりをしてくれ、フィジカルエージェントは工場や倉庫で人間の代わりに働いてくれる」と説明する。 その上で「世界で作られる半分のロボットが日本で生産されている。日本はロボットを生産するベストの国だ。メカトロ技術もあり、川崎重工など多くのロボットメーカーがある。日本はこのチャンスを生かすべきで、われわれも一緒に(AIを実装したロボット革命を)実現したい」とエールを送った。 また「機動戦士ガンダム」や「鉄腕アトム」などを挙げ「ロボティクス領域で日本より優れている国はない」と指摘。AIロボット開発で安川電機や川崎重工業など、医療機器でキヤノンや富士フイルムホールディングスなどと連携・協業しているとを明かした。
ヒューマノイドロボットに注目
「いまのロボットは皿を洗うのも難しい。また工場で仕事をするのも難しいようで、これはロボットがすでに作られたレイアウトになっているからだ。車の製造工場で使うロボットは、工場で使えるように考えられて作られている。世界には2000万の工場があるが、そのうちの数百のみがロボット用ということで作られている。それ以外の何百万もの工場は、人が働くことを想定して作られている」 「このため、私たちがロボティクスのテクノロジーを活用して社会で生かそうとする、家庭でお手伝いをする、あるいは病院で役立てようとする、ドクターがロボット手術をする――ということを考えると、唯一のソリューションは(ヒト型の)ヒューマノイドのロボットになる。工場で作られているロボットは、病院では役に立たない。ソリューションにするためにはヒューマノイドロボットを作る必要がある。このロボットは成長する可能性があり、今後5年間で大きく進化する」 現在、ヒューマノイドロボットは実用化が少しずつ進んでおり、ファミリーレストランで配膳をしたり、ホテルのフロントで案内業務をしたりしている。人間に近づいてはいるものの、まだ改善の余地が大きいのが現実だ。AIを駆使したより人間味のあるヒューマノイドロボットの開発への期待が高まっている。 車に関しては「全ての自動車がリアルなロボットになり、人間が運転しているならばAIがコーパイロット(副運転手)になってくれる。運転していなければショーファー(運転手)やコンパニオンになるだろう」と述べ、世界中の労働力不足をAIが代替する状況になると予測してみせた。