引っ越しを検討していますが、賃貸退去時のトラブルが心配です。発生しやすい「修繕費」には何がありますか?
賃貸住宅を退去する際、入居者には部屋を元の状態に戻す原状回復の義務があります。しかし、そのためにかかる修繕費の負担はトラブルになりやすいため注意が必要です。 本記事では賃貸退去時までに知っておきたい修繕費の種類や、原状回復費の考え方などについて紹介します。 ▼アパートの1階と2階で「家賃」はどれだけ変わる? 1階暮らしのメリット・デメリットも紹介
修繕費は主に4つに分類される
アパートやマンションなどの不動産にかかる修繕費は、内容や目的によって、以下の4つに分類されます。 原状回復費:退去後、部屋を入居時の状態に戻すためにかかる費用 老朽予防修繕費:建物の老朽化を防ぐために定期的に行われるメンテナンスなどの費用 大規模修繕費:15年に1回程度行われる、大規模な工事や修繕 破損箇所の修繕費:物件や設備に起きた不具合の修繕にかかる費用 上記の4つのうち、原状回復費以外の修繕費は原則として物件のオーナーが負担すべき費用です。 ■入居者にかかわるのは原状回復費 賃貸住宅の借り手である入居者にかかわる費用が原状回復費です。入居者が退去すると、物件のオーナーは次の入居者を見つける必要があります。 そのため、入居者には退去時に部屋を入居時と同じ状態に戻す義務(原状回復義務)があることが、民法第六百二十一条にて「賃借人は、賃借物を受け取った後にこれに生じた損傷(中略)がある場合において、賃貸借が終了したときは、その損傷を原状に復する義務を負う。」と定められています。 なお、原状回復とは、契約が締結される前に戻すことを意味する法律用語です。 具体的には、居住中に家具などをぶつけて傷つけてしまったり、汚してしまったりしたところを直したりきれいにしたりする費用は入居者負担となるでしょう。ただし、経年劣化や通常損耗による傷や汚れはオーナーが負担します。 例えば日光による壁紙の色褪せ、家具の重みによるカーペットのへこみ、画鋲の跡などは、通常の生活を送っていても自然に発生するものです。これらを修繕する費用はオーナーが負担すべきものとして賃料に含まれているというのが基本的な考え方です。