小池知事要請で「夜の街」悲鳴 銀座もピンチ
新型コロナウイルスの感染が世界的に拡大し、日本でも政府による「緊急事態宣言」が出されるかが焦点となる中、密閉空間・密集・密接の“3密条件”が揃うクラブやキャバクラなど接待飲食業の店舗が林立するいわゆる“夜の街”も悲鳴をあげる。5日、東京都では新たに143人が新型コロナウイルスに感染していることがわかり、2日連続となる100人超えで1日の感染者数としては最多を更新した。数々の映画やドラマなどエンターテインメントの世界でもおなじみ、夜の街の代名詞ともいえる銀座に店舗を持つクラブなどの経営者に話を聞いた。 【動画】感染源不明者、行動を分析したら…… 小池知事が「夜の街」自粛要請した背景
「先が見えないのが一番つらい」臨時休業を決断
銀座で約40年キャリアを重ねるクラブのオーナーママ・A子さんは、3月30日夜の小池(東京都)知事の緊急会見を境に状況が一変したと明かす。この会見で小池知事は新型コロナウイルスの感染拡大を防ぐため、接待を伴う飲食店などに行くことを当面自粛するよう呼びかけた。 「うちも4月に入って、まず中旬までは臨時休業としました。お客様だって手も足も出ません。私たちからお客様に『お越しください』なんて言える状況ではないし、銀座でもいくつかの店で感染者が出たなんて話が耳に入りますから、うちもそうなる前に自主的に休業するしかないと判断したんです」と、苦渋の決断をしたという。当面はほぼ収入がないことを前提に苦しい“運転”をせざるを得ないと嘆く。 「先が見えないのが一番つらいです。無利子で融資してもらったりしない限り銀座もつぶれますよ、これじゃ。街自体、夜になればネオンはつきますけど人が本当にまばらで『え?これが銀座?』と思うぐらいしーんとしています。タクシーの運転手さんも飲食店の休業の煽りを受けて大変ですよ」(A子さん) 先が見えない中、今後はどうするのか。 「まだ世の中がどうなるかわからないので、なんとも……。ただ、お客様のほうから自発的に『●日にはどうしても接待に使いたいんだ』といったご要望があれば休業中でもその日は開けますって感じで当面しのぐことも選択肢として考えています。世の中の動きを見ながら判断して行くしかないと思います。中にはお店を『止める』判断をしている人も出てくると思いますが、それは事業として死の方向ですから……。考えられる対策をし、動けるようになったら動けるように準備を整えるしかない、という状況だと感じています。出来る対策として今思い浮かぶのは、換気強化や席間を開ける、衛生対策(消毒液等)などはもちろん、高性能な空気清浄機を増やす、といったところでしょうか」(A子さん)