マジで激レアになってしまった「新宿発の小田急」バスに乗る 毎年6月だけ運行の「最長路線」 今年は周辺も激変!?
道行く人がビックリ「なんであんな乗ってんの…?」
取材日は朝からあいにくの雨。梅雨時らしい蒸し暑さを感じながら、よみうりランド線が発車する小田急ハルク前の新宿駅西口35番のりばに向かいました。9時発に間に合うよう、余裕をみて30分前に到着したにもかかわらず、すでに乗車を待つ人たちが10数人、列をなしています。発車の直前には30人近くが並び、よみうりランド線の関心の高さが見て取れました。 幅広い年齢層の人たちがバスを待つなかで、小学生~中学生ぐらいの少年の姿もチラホラ。多くの人たちがカメラを持っていました。乗車する人たちのほとんどが乗りものファン、バスファンなのは明らかで、よみうりランド線のバスが入線する前から、新宿駅西口ロータリーを行き来する京王バスや都営バスなどの撮影に励んでいました。 ただ、新宿駅西口は再開発が進み、小田急百貨店がこの1年で解体され、東口のルミネまで見通せるほど大きな空が広がっています。35番のりばに通じる歩行者デッキも解体されています。年1回、ここに集まるファンであれば、この変貌ぶりに驚いたのではないでしょうか。 やがてのりばにバスが入線。待っていた人たちが乗車するとあっという間に満員に。座席はもちろんすべて埋まり、立席スペースもぎゅうぎゅうとなって身動きが取りづらい状況です。 定刻9時に発車するとバスは新宿駅西口ロータリーを南下したあと、甲州街道へ。バスタ新宿から高速バスに乗るとよく通る区間ですが、車高の低い路線バスから見る車窓は新鮮に感じられます。 よみうりランド線は笹塚二丁目までの停留所で乗降扱いをします。でも、運転席の横にまで立席の乗客がいては、途中の停留所から乗りたくても乗れない状態といえるでしょう。車内からは、満員のバスを見て目を白黒させている人たちも見受けられました。
約13kmノンストップ! 京王バスや関東バスとの再会も楽しい
笹塚二丁目から調布までの約13kmは、千歳烏山駅北口や仙川といった停留所がありますが、よみうりランド線のバスはノンストップで駆け抜けます。下高井戸付近では杉並区のコミュニティバス「すぎ丸」が停車する姿が見え、千歳烏山駅付近を過ぎると、新宿駅で見かけたきりだった関東バスの車両が出現。京王バスも再び姿を見せます。東京西部の足を担う路線バス各社の車両を見ると、西へ向かっていることを実感します。 出発から30分以上がたち、当初のやや興奮気味で賑やかさがあった車内が落ち着き始めたころ、東京23区を抜けて多摩地区に入ります。よみうりランド行きはバスが発着する調布駅北口のロータリーには入らず、旧甲州街道上に設けられた「調布」に停車。その後左折し、多摩川を渡る鶴川街道へと入ります。 5分ほど走ると車窓には多摩川の広々とした河川敷が現れました。さらに左手にはよみうりランドの観覧車も見え隠れ。遠くまで来たものだと実感できます。 よみうりランド線しか発着しない矢野口駅東を過ぎればゴールまであと一息。京王よみうりランド駅を過ぎると急な登り坂やカーブが続き、立席の乗客は最後の力を振り絞って踏ん張っていないといけません。 ここ「ランド坂」はかつて、急なヘアピンカーブで高低差を克服していましたが、2021年に新しいループトンネル経由で付け替えられ、旧道があった急峻な谷はまるごと埋め立てられました。2024年現在は、丘の上までほぼ埋め立てられ、新たにできた用地に新球場の建設などが進んでおり、一大造成地の様相です。 そして終点・よみうりランド3番のりばに到着。この日は定刻から5分ほど遅れ、乗車時間は1時間15分となりました。 混雑はラッシュ並みですが長時間乗車ができ、心ゆくまでバス乗車を楽しめるよみうりランド線。2024年の乗車チャンスは、残りは6月30日の1回のみです。
水野二千翔(高円寺工房/モビリティライター)