年金の手取り額を見て「なんで?!」ねんきん定期便の記載額より少ない。FPが年金の仕組みを解説
・課税所得の額 - 所得控除額 ≦ 0 の場合、所得税はかかりません ・課税所得の額 - 所得控除額 > 0 の場合、所得税が源泉徴収されます 雑所得の額が控除額の合計より多かった場合は、その差額が課税所得となり、5%(復興特別所得税を含め5.105%)の税率をかけた額が所得税として年金から源泉徴収されます。 所得税が源泉徴収される場合には、住民税も同様に源泉徴収されるでしょう。市区町村によって計算方法が異なる場合がありますが、計算方法は所得税と同様に年金額から控除額を差し引いた課税所得額に税率10%をかけます。
所得税の計算方法
では、平均的な年金受給者の例で、所得税の計算をしてみましょう。 Aさん(68歳)の年金収入は200万円で、他に収入はありません。専業主婦期間が長かった妻(66歳)の年金は90万円、健康保険料と介護保険料は合わせて14万円です。 (1)所得額の計算 まず、Aさんの公的年金等にかかる雑所得の額を計算しましょう。上記の表を参考にして 200万円 - 110万円 = 90万円 (2)所得控除と課税所得額の計算 Aさんの妻は、年金収入が90万円で公的年金等控除額の110万円より少ないので、配偶者控除の対象です。従って、対象となる所得控除は基礎控除(48万円)、配偶者控除(39万円)で、社会保険料は14万円です。 控除額の合計は 48万円 + 39万円 + 14万円 = 101万円 よって、課税所得額は 90万円 - 101万円 ≦ 0 所得額より控除額のほうが大きいので、Aさんが受け取る老齢年金の所得税は非課税となり、源泉徴収されることはありません。同様に、住民税も非課税です。
年金受給者の確定申告
公的年金等の収入が400万円以下で、その他の所得金額が20万円未満の場合、確定申告は不要です。この条件を下回っていたら、自分の年金から所得税が源泉徴収されていないからといって、確定申告する必要はありません。 一方、源泉徴収されている方でも、住宅ローン控除、医療控除、雑損控除などで所得税の還付を受けたい方は、確定申告すれば還付を受けられる可能性があります。