窪田空穂の源氏物語訳文を紹介 長野県松本市の記念館で企画展
NHKの大河ドラマ「光る君へ」の放映で平安時代の女流歌人・紫式部が脚光を浴びる中、長野県松本市和田の窪田空穂記念館で企画展「空穂と源氏物語」が始まった。紫式部の長編小説『源氏物語』に魅了され、生涯を掛けて味読や現代語訳に取り組んだ和田出身の国文学者・窪田空穂(1877~1967)の仕事を紹介。千年にわたって読み継がれる古典文学の奥深さの一端に触れる展示会だ。 現早稲田大学在学中に18歳で源氏物語に出合ってから最晩年まで、古典文学の金字塔を70年にわたって追究した空穂の仕事を4章立てで紹介した。平安末期~鎌倉時代に既に難解な古典とされた源氏物語。近代には多くの文化人が現代語訳に挑み、空穂もその一人だったという。しかし「女々しい文学」として戦時下で発禁処分対象に。空穂は終戦後の昭和22(1947)~24年に全54帖の完訳本を出版した。 会場では88歳の空穂が再び完訳を試みた自筆原稿「桐壺(きりつぼ)」も初公開。それまでの空穂は原文に忠実な逐語訳にこだわったが、最晩年の原稿には「空穂自身の言葉による源氏物語」(記念館)が垣間見えるという。担当学芸員の會田美保さんは「時代によって人によって、源氏物語の読まれ方は変化する。空穂が高く評価した紫式部の才能と共に味わってほしい」と話している。 10月27日までで月曜休館。観覧料310円(無料対象は要確認)。問い合わせは記念館(電話0263・48・3440)へ。
市民タイムス