日本酒 需要が高まる米国で、缶入り日本酒に賭ける日本発スタートアップ蔵元
スパークリングワインに近い日本酒になった理由
缶入りレシピは、低アルコール度数の缶入りのレディ・トゥ・ドリンクのカクテル、そしてもちろん日本酒など、成長中の飲料トレンドに対応している。Wakazeのボトル入り日本酒はフランスで醸造されているが、サマーフォールのスパークリング日本酒は、カリフォルニアを拠点に、地元産の米を使いワイン発酵法を用いて造られている。このプロセスにより、サマーフォールの商品は従来の日本酒よりも酸味が高く、スパークリングワインに近い。 稲川氏は、昨年アメリカでWakazeのテイスティングを始めたとき、多くの顧客がすでに日本酒になじみがあるにもかかわらず、日常では飲む機 会がないのに気づいたという。「日本酒は愛されているが、1本30ドル(約4500円)という価格は高すぎるかもしれない」。また、開封後は数日以内に飲み切らなければならないという点もあった。「そこで、もっと小さな形式にし、日本食レストラン以外の場所で飲めるようにして、米国人の好みに対応した」。
アジア系の飲料カテゴリーの増加
蒸留酒業界の専門家グループであるインダストリー・コレクティブ(The Industry Collective)の創設者、テイラー・フォックスマン氏は、「ここ数年、これまで見てきたイノベーション、特に飲料業界の新興ブランドにおけるイノベーションを考えると、私はアジアの飲料カテゴリー全般に対して楽観的に考えている」とモダンリテールに語る。その例には、サンゾー(Sanzo)スパークリングウォーターや、ユズやライチなどのアジアのフレーバーに特化したネクターハードセルツァー(Nectar Hard Seltzer)がある。 フォックスマン氏は、愛飲家からは飲んでみたいと思う斬新な新規ブランドがますます求められていると付け加える。「日本酒は一般的に知られている」と述べ、業界参入を目指すサプライヤーにとってはエキサイティングな時期であると語る。親密なディナーからクラブやバーまで、「日本酒はオケージョンに対しても非常に用途の多い商品だ」。 稲川氏にとって、サマーフォールの立ち上げは消費財スタートアップを経営する上でのクラッシュコースでもある。「新興ブランド向けの消費財業界があるとは知らなかった。これは日本にもフランスにもないので、私にとっては何もかもが初めてだ」。 サマーフォールは全国の顧客にサービスを提供するためにD2Cチャネルを立ち上げている。だが、マーケティング戦略はブランドを中心に業界の話題を築くために、当初は実際のイベントや配布に注力するものとなる。