オアシスはなぜ現象化した? 90年代ロックシーンの時代背景とギャラガー兄弟の特異性を検証
若い世代からのフラットな評価
フーリガンがバンドを組んだような初期のイメージ、メディアがこぞって報じた乱痴気騒ぎの印象から、一時は“ラッド・ロック”という称号を与えられ、マチズモの権化のように揶揄された時期もあるオアシス。しかし長い年月の間にネガティブな風評はすっかり落ち着き、近年は彼らがもたらすロック・バンドとしてのカタルシスと、“詞・曲の良さ”を評価する声が残った感がある。オアシス復活が報じられるや、真っ先に歓迎したのがスネイル・メイルやニア・アーカイヴスといった、彼らの娘世代の女性アーティストたちだったことは極めて象徴的だ。長い年月の間に雑音が静まり、純粋にコンポーザーとしての魅力を評価されるフラットな状態が訪れたのだろう。 今年2月のバラエティ誌のインタビューで、ザ・ラスト・ディナー・パーティーのアビゲイル・モリスはドキュメンタリー映画『オアシス:スーパーソニック』について述べ、「彼らは音楽産業のゴリ押しで成功したわけじゃないし、私たちも違う」と共感を示していた。メディアでは早速、「オアシスのライブで誰がオープニングアクトを務めるのか?」という予想が始まっていて、彼女たちのような若手から、そもそも交流があるカサビアンやブロッサムズなどの名前が挙がっている。スケジュールが正式に発表されたばかりの北米ツアーでは、ケイジ・ジ・エレファントが前座を務めることが明らかになった。 前座の有力候補のひとつとして名前が出ていたフォンテインズD.C.が、オアシス復活について「どうでもいい」と発言、それを知ったリアムにSNSで罵られる……という、いかにもなニュースもあったが。そんな風に若手と肩がぶつかるポジションに今も彼らがいるのは、オアシス解散以降もノエル、リアムが現役で活躍し続けてきたからこそ。リヴィング・レジェンドならではの堂々たるパフォーマンスを見届けるその瞬間が、今から待ち遠しくてたまらない。 --- 映画『オアシス:ライヴ・アット・ネブワース 1996.8.10』 2024年10月18日(金)よりTOHOシネマズ日比谷ほか、全国ロードショー © Big Brother Recordings Ltd © Jill Furmanovsky 『コンプリート7インチ・シングル・コレクションBOX Vol.1』 日本独自企画:3000セット完全生産限定盤 2024年10月30日 (水) リリース 封入特典:ノエル・ギャラガー アクリル・スタンド 『コンプリート7インチ・シングル・コレクションBOX Vol.2』 日本独自企画:3000セット完全生産限定盤 2024年11月13日 (水) リリース 封入特典:リアム・ギャラガー アクリル・スタンド オアシス 『Definitely Maybe(邦題:オアシス)』30周年記念デラックス・エディション 発売中 【展示会情報】 リヴ・フォーエヴァー:Oasis 30周年特別展 会期:2024年11月1日(金)~11月23日(土) 会場:六本木ミュージアム
Masatoshi Arano