【巨人】菅野智之の恩師も寝耳に水だったMLB挑戦 円熟エースなぜ〝メジャーの夢〟再燃
円熟エースの〝無欲のMLB挑戦〟は結実するか。巨人の菅野智之投手(35)が7日、海外FA権行使の申請を行ったことを明かした。この日、ジャイアンツ球場を訪れ「昨日、(申請書類を)出しました」と明言。公言していたメジャー移籍へ向けた手続きを完了した。ヤンキース、メッツ、カブスなど複数球団が移籍先候補に浮上する一方、完全復活を成し遂げた今季はレギュラーシーズン中も海を渡る夢を全く意識せず、無欲恬淡(むよくてんたん)に投げ続けていたという。 渦中の菅野は自身のメジャー挑戦について問われたものの「すみません。何もしゃべれないです」。ドジャースで大谷翔平投手(30)と1、2番コンビを組むムーキー・ベッツ外野手(32)と同じ代理人事務所「VCスポーツグループ」と契約を締結したこともあり、口をつぐんだ。 そうした中、菅野を2年間にわたってマンツーマン指導し、15勝3敗でセ最多勝&同最高勝率の投手2冠に導いた〝名伯楽〟久保康生巡回投手コーチ(66)は「彼は実力があるから夢のお手伝いができた」と完全復活を果たした右腕にうなずいた。 昨季(4勝8敗)からの復調理由を聞かれた菅野は事あるごとに「久保さんのおかげ」と話すのが常。そんな〝恩師〟にとっても、右腕のメジャー挑戦は寝耳に水だったという。「シーズン中の菅野はメジャー挑戦とか、そんな様子はまったく見せなかった。それを頭に入れてやっていたわけではなく、目の前の勝利を重ねることで夢を再び手繰り寄せた」と同コーチは振り返った。 実は〝メジャー移籍ありき〟ではなかったという背番号18。久保コーチとフォーム改造に取り組んだことで2017、18年に2年連続で沢村賞を獲得した直球の力強さを取り戻した。チームのために無心で勝利を追い求める中で一度は諦めたメジャーの夢が再燃したという。 自身にとっては年齢的にも今回がラストチャンス。5日(日本時間6日)から米テキサス州サンアントニオで始まったGM会議の場でも、菅野の名前は35歳ながらNPBで最も成功した右腕として話題となっている。早くもヤンキース、メッツ、カブス、レンジャーズ、ブルワーズなど複数球団が移籍先候補としてささやかれ始めており、米情報サイト「トレードルーマーズ」は菅野とMLB球団の契約内容を1年1200万ドル(約18億4800万円)と予想。仮に成立すれば、巨人での今季年俸は4億円(推定)だけに4倍以上に跳ね上がることになる。 「2020年に(メジャーに)行けなかった時の、やっぱりそういうのはずっと僕の中であったので、そういう決断をしました」と話した円熟エース。MLBのひのき舞台でアメリカンドリームをつかみ「TOMOYUKI SUGANO」の名前をとどろかせることができるか。
坂庭健二