誰もが“レース”を体感できる『カート』は休日の人気レジャーになり得るのか? キーワードは「きっかけ作り」
■求められる「きっかけ作り」
以上のことを考えても、やはりカート人気を一層高めるために求められるのは「きっかけ作り」であると感じさせられる。例えモータースポーツファンであっても、ある日突然「カートに行ってみよう」と思い立つ事はそうそうないはず。何かのきっかけが必要なのだ。 もちろん、M4カートレースも間違いなくそのきっかけ作りに寄与していると言えるだろう。例えばゲストドライバーに会いに行くためにレース好きの友人同士で誘い合ったり、協賛企業の担当者がカート未経験者に声をかけたり。そういったところで様々“きっかけ”が生まれていると言える。 M4の場合、基本的な参加費は1チーム6万円となっており、例えば3時間耐久レースに6人でエントリーした場合、1人あたり1万円で30分の走行が楽しめる、ということになる。走行時間と金額だけを聞くと高く感じてしまいがちだが、1日を通してレースという“イベント”を楽しむことができると思えば、それはある種テーマパークなどと同じようなものであり、「カートは高い」という見方も変わるのではないだろうか。 テーマパークにしても、常にアトラクションに乗っているわけではない。友人と何気ない話をしながら列に並んだり、食事をしたり、パレードを見たりといった時間が大半になる。カートレースでもそれは同じで、セッションの合間には他愛もない話をしながら、レース中はチームメイトの戦況を見守ったり、ピット戦略の相談をしたり、チェッカーを受けたドライバーたちをハイタッチで出迎えたり……そういった非日常の体験を含めての価格だと考えれば、他のレジャーと比べても遜色ない“コスパ”を感じられるはずだ。Exgel motorsport.comチームのドライバーとして参加してくれた現役高校生の野村も「僕はディズニーランドよりカートの方が楽しいです(笑)」とはにかむ。 野村と同じくExgel motorsport.comチームからM4に参加した佐藤も、同イベントが費用やフォーマットの面でも非常に手軽なものになっていると評価しつつ、そういったイベントの開催に加え、モータースポーツのファンがカートの世界に“入りやすい”ような方法で宣伝ができれば、もっと多くの人々にカートを楽しんでもらえるはずだと考えている。 佐藤は次のように語る。 「レンタルカートは入口として手軽ですし、このイベントも少しの参加料でモータースポーツを体感できるという点で、すごく入りやすいイベントだと思います」 「あとはもっと、モータースポーツに興味がある人が入りやすいような宣伝ができれば、よりたくさんの人に楽しんでもらえるのではないかと思います」 「モータースポーツを見るのが好きで、自分も(カートを)体験してみたいとなった時に、やはり繋がりがないと入りにくいというのが現状です。周りに人に(カートを体験した)きっかけを聞くと、やはり友人の紹介が多いです。自分ひとりでも行ってみたいと思えるようなきっかけが必要だと思います」
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