RB、リサイクルしたカーボンファイバーを使い、F1パーツを製造。角田裕毅とリカルドがエミリア・ロマーニャGPでドライブへ
RBは、Heraグループと協力し、カーボンファイバーを再利用する取り組みを進めている。次戦エミリア・ロマーニャGPで角田裕毅とダニエル・リカルドが走らせるフロントウイングは、再生カーボンファイバーで作られた”型”を使って製造されたモノであるという。 【ランキング】中団グループから抜け出した? RBはランキング5番手|F1コンストラクターズランキング F1マシンは、強くて軽くなければならない。そのため、各所に軽量で高剛性のカーボンファイバーが使われている。またマシンの製造工程でも、多量のカーボンファイバーを使う。 しかしこのカーボンファイバーは、これまでは再利用されず、大量に廃棄されてきた。しかしRBは、環境やエネルギー、水などの分野におけるイタリア最大の公益事業会社のひとつであるHeraグループと協力し、このカーボンファイバーを再利用する計画を進めている。 この計画は、RBのチーム内で使い終わったカーボンファイバーを、イモラ・サーキットの近くに建設中のHeraグループ傘下のHerabiamte社の工場でリサイクル。このリサイクルされたカーボン繊維を使い、これまで以上に持続可能なレーシングカーを作るという目標を掲げている。 このパートナーシップが完全に稼働すると、年間最大150トン相当の二酸化炭素排出を削減することが可能。これは、4000本の木を植えるのに相当する量だという。 またカーボンファイバーを再利用できるようになれば、環境対策だけでなく経済的な利益も生み出すと期待されていて、モータースポーツのみならず自動車業界にもメリットをもたらすとされている。 具体的にはまず、パーツを作り出す型に使われているカーボンファイバーに、このリサイクルカーボンを使うことになるという。この型にリサイクルカーボンを使うことができれば、コンポーネントの性能と品質を確保しながらも、二酸化炭素排出量の削減に貢献できるという。実際にエミリア・ロマーニャGPで角田裕毅とダニエル・リカルドが走らせるVCARB01のフロントウイングは、このリサイクルカーボンで作られた型を使って生み出されたものになるようだ。 使い終わったカーボンファイバーは、高温にして合成ガスにした後、炭素繊維に戻す。その炭素繊維がファエンツァのRBのファクトリーに送られ、F1マシンのパーツ製造に使う型が作られる。この型はリサイクルカーボンを85%使って作られ、二酸化炭素排出量を83%削減するという。 「Herambiente社が開発した炭素繊維リサイクルプロジェクトは、F1世界選手権におけるCO2排出量の削減を目指すRBとレッドブル・グループの目標に、完全に合致している」 RBの施設管理兼HSE(労働安全衛生・環境)ディレクターのエンリコ・ファステリはそうコメントした。 「モータースポーツをますます持続可能にし、環境に配慮したものにするための新技術の開発に加え、循環経済と地域プロジェクトの推進……これらは全て、我々が気候変動という世界的な課題に取り組むためのあらゆる機会をとらえることを目的とした、包括的なビジョンを持って取り組んでいる多数の活動の一部である」 またHerambiente社のアンドレア・ラモンダCEOも次のように語った。 「RBとの提携は、脱炭素化と循環経済の発展という、当社の目標と完全に一致している」 「炭素繊維の再生は、環境的、経済的、社会的利益を生み出すという共通の目標に向け、各パートナーがリソースとスキルを持ち寄り、優れたチームワークを必要とする先駆的なプロジェクトだ」
motorsport.com日本版
【関連記事】
- ■RBは今季中にトップ5チームに完全に追いつけるのか? メキーズ代表「アップデートが出来上がれば、どんどん投入する。0.05秒でも違いがあればね!」
- ■空気と水さえあれば、ガソリンと同じような燃料が作れる……ホンダF1で加速する、未来への技術”カーボンニュートラル燃料”の開発
- ■角田裕毅、トップドライバーになるべく確実に成長中。RBメキーズ代表大絶賛「彼は天性のスピードにさらに磨きをかけた」
- ■アルピーヌ、水素エンジン搭載プロトタイプを公開。WEC水素クラス参戦の序章か……F1への技術転用の可能性も示唆
- ■レッドブル、ハイパーカーRB17の世界初公開と、F1参戦20周年をグッドウッドで祝う。歴代チャンピオンマシンも展示へ