誰もが“レース”を体感できる『カート』は休日の人気レジャーになり得るのか? キーワードは「きっかけ作り」
■期待される『シティサーキット東京ベイ』のポテンシャル
そして、カート体験への新たな“きっかけ”となることが期待される施設が昨年末にオープンした。それが『シティサーキット東京ベイ』だ。 東京・お台場のパレットタウン跡地に作られたこのシティサーキット東京ベイは、EVカートをメインとした東京23区で唯一となるサーキットであり、ゆりかもめの青海駅直結、りんかい線の東京テレポート駅から徒歩2分と、抜群のアクセスを誇る。関東圏に住む人々はもちろんのこと、国内の遠方や海外からの観光客にとっても好都合な立地。先に述べたアクセス面の課題は、ほぼクリアしていると言っていいだろう。 東京都心という好立地で最新のEVカートが楽しめるということもあって、屋外カートコースの走行料金は7分で3500円~と、価格設定は他のカート施設と比較してもやや高めとなっている。ただ、初心者向けの4分間1500円というお手軽な走行枠も用意されている上、走行チケット購入者はEVカートのシミュレータが無料で遊べるようになっているなど、参加への障壁を下げたり“コスパ”を高めるための工夫もなされている。さらに今後も様々な企業等と手を組むことで、無料体験などのお得なキャンペーンを展開していきたいとしている。 そして何より注目されるのが、このシティサーキット東京ベイは適宜施設を増築し、例えばバーベキューやサウナといったカート以外のコンテンツを増やそうとしているという点だ。その根底にある考えについて、シティサーキットの総合プロデューサーである田村吾郎氏はこう語っていた。 「考え方としては、ふたつほどあります」 「まず、(友人や知人の)グループで5人10人と集まった時に、全員がカートに乗りたいわけではないことが多いと思います。もうひとつは時間軸の話で、カートは疲れるので何時間もずっと乗っていられるわけではない。そこにサウナやバーベキューがあると、エクスペリエンス(体験)が変わってきますし、1日中楽しむことができます」 カート好きやレース好きを増やさなければいけないフェーズにある今、「カートができる」施設ではなく「カートもできる」施設を作ることは大いに意義があるだろう。これらは先にも述べた「1日かけてテーマパーク的な非日常的を楽しむことでコスパの良さを感じる」ことにも繋がるし、付随するコンテンツが多ければ多いほど、レースに明るくない友人もカートに誘いやすいはずだ。 モータースポーツ人気の向上を目指し、様々な人々が奮闘し、頭を悩ませている昨今。モータースポーツを真のメジャースポーツとするためには、その魅力を誰もが気軽に体感できる「カート」というアクティビティをより身近なものにしていくという作業も不可欠となるだろう。
戎井健一郎
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