サラヤ、衛生環境に貢献する薬用ソープは創業の原点
記事のポイント①サラヤの「ウォシュボン」は天然成分のみを使用した薬用ハンドソープ②売上の1%をアフリカ・ウガンダの手洗い普及活動に寄付する③「手を洗う」習慣を広めることは、サラヤ創業の原点につながる
サラヤの「WASHBON(ウォシュボン)」は、植物由来の天然成分のみを使用した薬用ハンドソープだ。売上の1%を、アフリカ・ウガンダの手洗い普及活動に寄付する仕組みも付与する。広報宣伝統括部の伊藤麻衣係長は「手を洗う」習慣を広めることは、サラヤ創業の原点でもあると語った。(オルタナ副編集長=長濱慎) ■ 日本の衛生向上に貢献した歴史を受け継ぐ製品 ――WASHBON(ウォシュボン)というネーミングには、どのような意味が込められているのでしょうか。 伊藤:その前に、サラヤの歴史を紹介させてください。日本ではじめて液体式の薬用石鹸を開発したのはサラヤで、創業年の1952(昭和27)年のことです。当時は終戦から7年。国内の衛生環境は劣悪で、現在では当たり前の「手を洗う」という習慣も根付いておらず赤痢が流行していました。 こうした状況に対して、創業者の更家章太(さらや・しょうた)が、手洗いと同時に殺菌 ・消毒ができる液体式の薬用石鹸を送り出したのです。これが据付型のディスペンサーとともに学校などに普及し、日本の衛生環境の向上に大きく貢献しました。 そして日本が豊かになり、手を洗うことが当たり前になった1981年、ワンランク上の手洗いを届けたいという想いから、ウォシュボンというブランドが立ち上がりました。ネーミングは英語で「洗う」を意味するWASHに、フランス語の「良い」を意味するBONを組み合わせたものです。 サラヤは「世界の衛生・環境・健康に貢献する」をパーパスに掲げており、液体式の薬用石鹸は創業の原点といえます。ちなみにそれまで薬用石鹸といえば業務用がメインでしたが、ウォシュボンは当初から家庭用も展開していました。
■ 企画・開発・製造・研究を自社ワンストップで行う強み
――ウォシュボンは植物由来の天然成分のみを使用しています。改めて、製品の特徴を教えてください。 伊藤:ウォシュボンは着色料、合成香料、防腐剤、合成界面活性剤は一切使っていません。植物由来の洗浄成分のみを使用し、香りの演出は天然精油100%です。天然素材も創業以来のこだわりで、その原点は更家章太が自然豊かな三重県・熊野市で育ったことにあります。 ウォシュボンは殺菌・消毒といった機能に加えて、使い心地の良さも追求しました。泡を手に取ったときのモコモコフワフワ感や、すすいだときの爽快感はとくにこだわったポイントで、成分の配合バランスなどのテストを繰り返し行いました。 さらにプレミアム感を追求した上級シリーズの「ウォシュボンプライムフォーム」では、手を洗えば洗うほど香りが立つようにしています。おかげ様で「敏感肌でも安心」「手を洗う時間がリフレッシュになる」といった声を多くいただいています。 ――ウォシュボンに限らずサラヤ製品全般に言えることですが、リユースの促進によるプラスチックごみの削減にも取り組んでいますね。 繰り返し使っていただけるよう、詰め替え用を用意しています。そのためにもパッケージは、部屋のインテリアにマッチして長く手元に置いておきたくなるデザインにしました。その結果ゴミの削減だけでなく、リピーターのお客さまを増やすことにもつながっています。 全ラインナップのパッケージに再生樹脂を使っていることも、ウォシュボンのこだわりです。薬用ハンドソープの容器として通用する品質を担保した上でコストを抑えるのは高いハードルでしたが、製造部門や研究部門とも連携して課題を克服しました。 サラヤは製品の企画・開発だけでなく製造・研究も自社で行っており、各部門が密に連携できることは強みかもしれません。こうした地道な取り組みに加えて愛用するお客さまが増えたことで、ウォシュボンはワンランク上の要素を盛り込みながらも町のドラッグストアに流通・購入できる価格帯を実現できました。