「フリーダム」vs「Y.M.C.A.」 分断の米大統領選では集会の音楽も二極化
5日投開票の米大統領選を控え、民主党のハリス副大統領(60)と共和党のトランプ前大統領(78)が全米各地の支援者集会に出席し、票獲得の追い込みを図っている。集会では、民主党が人気歌手、ビヨンセさんの「フリーダム」など比較的新しい流行曲を流す一方、共和党はカントリー音楽や往年のヒット曲「Y.M.C.A.」といった「懐メロ路線」に傾いている。分断が際立つ両党の支持層は、音楽においても二極化の様相を呈している。 【表でみる】米大統領選、接戦7州の支持率は? 「米国は新たな歌を歌うときだ。私たちの声は、団結のハーモニーを奏でる」 ビヨンセさんは10月25日に南部テキサス州で開かれた民主党の集会で、約3万人の聴衆にこう訴えた。 ハリス氏はビヨンセさんの「フリーダム」を選挙のテーマソングにしている。「勝者は自分自身を諦めない」といった歌詞が支持者の共感を集め、集会を象徴する曲にもなっている。ハリス氏が米国民のフリーダム(自由)を守るのと同時に、トランプ氏が自由を傷つけている―という意味合いも込められている。 ハリス陣営はほかにも、女性ラッパーのミーガン・ジー・スタリオンさんをはじめ若者世代に人気のアーティストを集会に登場させたり、曲を使用したりするなどして若者票の呼び込みを狙う。男性優位の社会を批判したテイラー・スウィフトさんの「ザ・マン」なども象徴的だ。 これに対し、トランプ氏の集会ではよくカントリー音楽が流れる。代表的なのがトランプ氏支持者でもある歌手、リー・グリーンウッドさんの「ゴッド・ブレス・ザ・USA」だ。 「米国人であることを誇りに思う」など愛国的な内容に加え、ミネソタやテネシーなど具体的地名が多く歌詞に練り込まれていることから、会場が盛り上がる。トランプ氏支持の中核層は平均年齢が比較的高い白人男性であり、郷愁を誘う狙いもある。 1970年代後半のヴィレッジ・ピープルの「Y.M.C.A.」も定番曲の一つだ。トランプ氏は4年前の前回選に続き、今回も知名度が高く親しみやすいこの曲を使用。共和党集会に参加した東部ペンシルベニア州在住の白人男性、スコット・ジャニーさん(66)は「カントリー音楽は米国の宝だ。集会で『Y.M.C.A.』を踊るのも実に楽しい」と語る。 ただし、この曲はもともとゲイがモチーフとされており、反LGBTQ(性的少数者)の色彩が濃いトランプ陣営がテーマソングのように使用するのは矛盾しているとの見方もある。