「ベテランからは疎まれている」 河野太郎氏が党内で嫌われる本当の理由とは
「乱立」「混戦」「暗闘」――。今月14日、岸田文雄首相(67)が退陣を表明したことで、来月の自民党総裁選は一気に無秩序状態へと突入した。前回の決選投票で岸田首相に敗れた河野太郎デジタル大臣(61)が最近見せている、とある変化とは――。 【写真を見る】敵を“ガン詰め”する河野太郎大臣の妹・治子氏 ***
「X」のフォロワー数は約256万人と、知名度は抜群ながらも永田町では「変人」と評される河野太郎氏。過去2度の挑戦を経た本人は今回、“3度目の正直”を虎視眈々(たんたん)と見据えており、 「河野さんは今月16日、自身の属する麻生派会長の麻生太郎副総裁と都内で会談。立候補の意向や戦略を説明し、了承されたと報じられました」 とは、全国紙デスク。これを受け、近日中に出馬表明に踏み切るとみられているのだが、 「かといって麻生さんは“河野一本で推していく”と決めたわけではなく、河野さんから“推薦人20人にめどがつきました”との報告を受けたに過ぎません。いかんせん候補者が出そろっておらず、どの“勝ち馬”に乗るのか、麻生さんとしてもいまだに様子見が続いている状態です」(同)
苦情を全く気に留めず
所属議員の意向を確かめるべく、麻生氏は今月催される派閥の研修会でヒアリングを行うといい、 「麻生さんはもともと、河野さんの父・洋平さんの派閥『大勇会』出身。河野家に恩義を感じており、常々『息子(太郎氏)に派閥を返したい』と周囲に話しています。ところが河野さんはイージス・アショア配備計画停止からマイナ保険証まで、根回しをせず言いっ放しの“アドバルーン型”。霞が関から派内のベテランに苦情が寄せられても、本人は全く気に留めておらず、ベテランからはもっぱら疎(うと)まれてきました」(同) それもあって麻生氏は、 「決選投票で岸田さんに敗れた3年前の二の舞にならないよう、河野さんには『派内に仲間をつくれ』『丁寧に人と会え』と繰り返し言い聞かせてきたのです」(同)
“脱原発”なのに
例えば7月12日に河野氏は、麻生派で重きをなす鈴木俊一財務相(71)と会食している。同派関係者によれば、 「鈴木さんは前回、岸田さんを支持。河野さんは今回の支持を取り付けようとしたわけですが、せっかく重鎮と打ち解けられるチャンスなのに、これまでの政治姿勢を省みることもせず、“昨日はああした、こうした”などと世間話に終始してしまった。おまけに、そうした情報がしばしばメディアに漏れるので、ベテラン側から“河野側が漏らしたのでは”と、不信感を持たれてしまうのです」 もっとも本人は、さすがに危機感を募らせたのか、最近では“変化”も見られるという。 「河野さんは党内では異色の“脱原発派”でしたが、7月31日には茨城・東海村の原発施設を視察し、『電力需要の急増に対応するため、原発の再稼働を含めて技術を活用する必要がある』などと発言しました。出馬表明した小林鷹之さんと関係の深い甘利明さんをはじめ、ベテランを振り向かせたい腹積もりなのでしょう」(同) 前回の総裁選でも唐突に再稼働を容認し、周囲に訝(いぶか)られていた河野氏。今回は用意周到に準備したということか。実際に、さる麻生派ベテラン議員に聞くと、 「電力需要が彼(河野氏)の予測を大きく上回っており、原子力を活用しないと計算が合わなくなる。これに気が付いたのでしょう。人間は成長の過程で誤りを修正すべき局面もありますが、それをちゃんとやるのは立派だと思います」 “異端児”は、正統派候補へと脱皮できるのだろうか。 「関連記事【高市早苗氏から「安倍シンパ」が急速に離れたワケ 「前回の総裁選後、お礼やねぎらいの言葉はナシ」】では、前回の総裁選後、高市早苗氏が急速に党内の支持を失っている理由について報じている。 「週刊新潮」2024年8月29日号 掲載
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