比例得票でも〝最弱〟大阪自民、2連続で対維新「0勝15敗」からの遠き党勢挽回
大阪で自民党の苦境が続いている。令和3年の前回衆院選では候補者を擁立した15選挙区で、大阪を本拠とする日本維新の会に全敗。捲土重来(けんどちょうらい)を期した今回の衆院選もことごとく破れた。連立を組む公明党も議席を奪われ、全19選挙区における維新との「大阪決戦」は与党側の完敗に。落選した自民府連会長はさっそく辞意を表明、党勢立て直しのきっかけがつかめない状況だ。 【自民党内の衆院勢力図】衆院選で変化…最大勢力は麻生派に、旧安倍派は第5勢力へ後退 「序盤の観測では維新失速と持ち上げられたが、結局落とされた」 落選した自民の元国会議員が苦悩まじりに振り返る。大きな「痛手」となったのが選挙戦終盤に共産党機関紙「しんぶん赤旗」が報じた活動費2千万円問題。派閥パーティー収入不記載事件に絡み、自民が非公認とした候補の政党支部にも活動費が支給されていたと伝えられると、自民は全国で防戦一方となった。 もっとも大阪で盤石の強さを誇った維新も、全国の比例代表の得票数では前回から約300万票も減らしている。2025年大阪・関西万博の予算膨張や、兵庫県の告発文書問題を巡る対応の遅れで、維新に逆風が吹いていたことは間違いない。だが、その維新批判票が国民民主党や立憲民主党を勢いづかせても、同じく逆風下の自民を利することはなかった。 「活動も相手候補の5倍、10倍やった自負がある。それでも勝てない」 大阪19区で敗れた府連会長の谷川とむ氏(48)は落選が決まった直後、記者の質問にこう語り、その場で会長辞任を表明した。前回は同じ維新の相手候補に1万5千票以上離された。今回は約5千票差にまで肉薄したが、及ばなかった。自民候補が立った大阪の他の14選挙区では維新候補に全て1万票差以上、最大で約5万5千票の大差をつけられた。比例代表の党派別得票率でも全国ワースト(16・83%)だった。 「国政選挙で前面に立って動いてくれる地方議員の数が違う。府内の首長も維新出身か親和的な人が増えた」 自民府連関係者は、巻き返しが容易ではない構造的な要因を明かす。大阪府議会だけを取ってみても過半数を握る大阪維新が51人いるのに対し、自民はわずか6人。かつては自民の強みだった組織力でも見劣りする。