岩田明子氏「譲れないところ」既存メディアの取材手法「精神的にもつらい作業ではありますが…」
元NHK解説主幹でジャーナリストの岩田明子氏は23日、日本テレビ系「ウェークアップ」(土曜午前8時)に出演し、11月17日に投開票された出直し兵庫県知事選で斎藤元彦知事(47)が再選されたことをめぐり、選挙報道のあり方の観点からコメントした。 斎藤氏はパワハラ疑惑などの告発文書問題を受けて県議会による不信任決議で失職し、政党や組織の支援もない中で選挙戦をスタートさせた。当初は劣勢とみられたが、SNSを駆使した選挙戦を展開し有権者に広がったことが勝因の1つに挙げられている。 番組では、事前に収録した中谷しのぶキャスターによる斎藤氏へのインタビューを放送。斎藤氏は、テレビや新聞、SNSの役割をどう考えているかとの問いに「いずれも大事なメディアだと思う」と指摘。「これまでもテレビ局や新聞は、それぞれの記者さんが取材を重ねて伝えるということを発信してきたと思う。SNSは逆にいうと、だれにでも発信ができ、自由さがあるというところで、違う」「この2つがうまく共存していくという社会になっていくのではないかと思います」と主張した。 インタビュー部分の放送後、中谷キャスターは「メディアの選挙報道のあり方も、あらためて問われた選挙だったと思う」と振り返り「テレビはだれでも見られるメディアとして影響力が大きい。これからも試行錯誤を重ね、取材をして事実に基づいて公正にお伝えできるように努めた」と口にした。 一方、岩田氏は、選挙報道の変化について「今年の東京都知事選や、今回県知事選ではSNSの威力をまざまざと見せつけられる形だったと思う。国会議員の人たちは、来年の参院選や東京都議選を見すえて、どぶ板選挙とSNSのハイブリッド型で、双方の質を上げていく必要があるという声も聞かれた」と述べた。 その上で「私たちメディアについて言えば、SNSはだれでもできるし、迅速性や拡散性がある。一方で、既存メディアは裏取りをして(テレビは)放送法の関係もあるし、しっかり取材して正確な情報を流していくというところが使命」と語った。 「長年にわたり、メディアに対しては『報じない自由』とかいろいろなことがいわれてきましたが、取材することは手間ひまがかかるし、精神的にもつらい作業ではあります」と、NHK政治部時代からの経験をまじえて指摘。「ここをとにかく一生懸命やって、どこにも出ていない情報を取ってきて、ダブルチェックを重ねて、絶対に間違いない正確な情報がお届けされているんだ、ということで信頼を取り戻していくというのは、譲れないところかなと思う」と、口にした。