海自呉に発足の新部隊、人員や艦艇の配置案が判明
2025年3月に広島県呉市の海上自衛隊呉基地に司令部を置いて発足する新部隊「海上輸送群」について、防衛省が想定している当面の人員や艦艇の配置案が分かった。陸海空の3自衛隊による共同の輸送部隊で、25年度末には海自阪神基地(兵庫県神戸市)も含め、計約160人、4隻を配備する見通し。27年度末には計10隻の配置を計画する。 【一覧】海上輸送群の配備の見通し 同省などによると、24年度末、中型(全長約120メートル、3500トン)と小型(同80メートル、2400トン)の輸送艦計2隻と隊員約100人を海自呉地区に配備する。このうち小型輸送艦にほんばれが29日、尾道市瀬戸田町の造船所で進水した。 陸上幕僚監部によると、25年度末には小型2隻が加わり、呉に中型1隻、阪神基地に小型3隻の体制になる。隊員は計約160人に増やし、呉に約60人、阪神基地に約100人を配置する。 防衛省は27年度末までに艦艇をさらに増やし、計10隻体制にする方針。中型2隻、小型4隻、より小さい機動輸送艇4隻の体制となる。配置先や隊員の総数は未定としている。 中型輸送艦は車両数十台、小型輸送艦は十数台の搭載が可能で、いずれも比較的浅瀬の岸壁に着岸できる。中型は本土と島しょ部の間の輸送を担う想定。小型は砂浜などで荷物を載せたり降ろしたりする「ビーチング」ができ、車両などを素早く積載できるよう船首部分が開閉する構造になっている。機動輸送艇は小型でも接岸できない小さな島への輸送活動を想定している。 同部隊の創設は、同省が重視している南西諸島の防衛力強化の一環。同省は「大小の多くの島々が点在する南西諸島への人員や装備品などの迅速な輸送が可能になる」としている。 3自衛隊の垣根を越えて作戦を実行する部隊で、呉基地内に設けられている準備室の室長は陸自の幹部が務める。発足に備え、配置される予定の陸上自衛官が船の運用技能を習得するため海自の艦艇で勤務している。
中国新聞社