スタットキャストの最新指標で大谷のスウィングを徹底解析!そこから見えてきた「パワーと高打率を両立できる理由」<SLUGGER>
スタットキャストに、今年5月から新たな指標が追加された。打者のバットの軌道やスウィングスピードにフォーカスし、「バット・トラッキング」とカテゴライズされた一連のデータである。今回はこの最新指標を駆使し、大谷翔平(ドジャース)の打撃を検証してみよう。 【動画】これぞメジャー最強クラスのスウィング!大谷の26号バックスクリーン弾 ※数字はすべて現地7月1日時点 まず、大谷の平均バットスピードは75.5マイルで、これはMLB14位。球界でもトップクラスの数字で、規格外のパワーはそのスウィングスピードから生み出されていることが分かる。 スウィングの始動からインパクトの瞬間までの平均距離を計測した「スウィング・レングス(スウィング軌道距離)」という指標では、7.6フィートとMLB平均(7.3フィート)よりもやや長め。一般的にパワーヒッターはスウィング軌道距離も長い傾向にあり、この点では大谷は「典型的なMLBのスラッガー」と言うこともできる。 だが、大谷が他の強打者と異なるのは、バットの芯に当てる技術も高いことだ。スウィングスピードと投球の球速に基づいて理論上の最大打球速度を算出し、それにどれだけ近いスピードで打てたかを示す「スクエア・アップ率」という指標がある。データによると、100%の打球を打てるのはバットヘッドから約10~23cm離れた”スウィートスポット”(要はバットの芯)に当たった時のみで、そこから遠ざかれば遠ざかるほどスクエア・アップ率は低くなっていくという。 この指標は、実はパワーヒッターよりもコンタクトヒッターの方がいい数字を出しやすい。現時点でのMLB1位は2022~23年に2年連続首位打者を獲得したルイス・アライズ(パドレスの45.0%)だ。 そんな中、大谷のスクエア・アップ率(分母はスウィング回数)28.1%は、平均75マイル以上のバットスピードを記録した選手の中で、フアン・ソト(ヤンキース)とに次ぐMLB2位に位置している。さらにバットスピードが速く、かつスクエア・アップ・スウィングで打球を打てた割合を示す「ブラスト・スウィング率」は20.1%でアーロン・ジャッジ(ヤンキース)とソトに次いで3位。速いスウィングで、なおかつバットの芯に当てる技術は、メジャー最高級と言っても過言ではない。 なお、「バット・トラッキング」には「ソード(剣)」という指標もある。カッコイイ名前とは裏腹に、これは投手にタイミングを狂わされ、それを見たファンがSNSに投稿したくなるような無様なスウィングのこと。バットスピードとスクエア・アップ率の両方が大谷よりも高いソトでも、このソード・スウィングは14回あるのに対し、大谷はわずか4回で、投手に完全に崩されるケースもかなり少ない。 数々のデータからも、現在の大谷が「MLB最強打者」の称号にふさわしい境地まで達していることがよく分かる。 構成●SLUGGER編集部
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