インド、経済急成長の市場で需要高まる職種とは? インド人材市場、最新動向
需要が高まる分野のスキルを持つ人材の不足
また、EVなど需要が高まっている分野の高いスキルを持ったメカニックやエンジニアといった技術職においては、技術育成への投資が不十分であるとの見方もあるようだ。 インド工科大学などにコースが設けられているとはいえ、このようなトップ大学の教育にアクセスできるのは人口のごく一部であり、正式な技能訓練を受けている人材は、日本や韓国の80~96%に対し、インドではわずか5%と圧倒的に少ない。 また、インドでは、家父長制が根強い社会背景により、特に地方では、女性の教育へのアクセスも比較的困難だ。幅広い、多様な社会グループからアクセス可能なスキル教育・トレーニングの不足が、スキル職の人材不足につながっているようだ。
日本企業も高い関心を持つインド人材市場
インド高度技能人材は世界中の企業で採用されており、特に医療やエンジニアリングといった、インド国内でも採用困難な分野の人材は、他国でも需要が高いスキルを持つ人材だ。 日本との時差が3.5時間と、リモートワークがしやすいことやトップ層の教育レベルの高さ、英語力の高さから、日本でもインド人材採用の関心は高い。 しかし、国内の教育格差の激しさから、企業側が求めるスキルを持つ人材の数は限られている。また、世界的なインド人材リクルートの関心の高さから、高スキルかつ英語が堪能なインド人材獲得競争は、イギリス、アメリカやオーストラリアといった給与水準が高い国との熾烈な競争となることも多い。 日本企業にとっても魅力的なインド人材市場。しかし教育格差や世界的な競争の影響で、人材確保はなかなか難しい状況にあるようだ。
文:大津陽子/編集:岡徳之(Livit)