実車を見ての印象は? 関係者は何を語った!? 「フェラーリ12チリンドリ」発表会見聞録
実際のカスタマーの反応やいかに?
最後に、そんな12チリンドリをファン……というか実際の購入者&購入者予備群がどう受け止めているかについて紹介したい。先述のカランド氏、およびフェラーリ・ジャパンのドナート・ロマニエッロ社長の話によると、本年度の日本割り当て分はクーペ/スパイダーともに完売御礼。納車開始は「グローバルでクーペが2024年末、スパイダーは2025年春」とされているが、実際には「スパイダーの納車開始はクーペの6~8カ月遅れになるかも」とのことだ。 毎度おなじみ、「発表時には完売」というパターンに反感を抱く人もおられようが、これについては、記者は「まぁ、仕方ないよね」という了見である。ブランドとしてはロイヤルティーの高いお客さまを優先するのは当たり前だし、むしろ何台も乗り継ぐ人と一見さんを一緒くたにしてくじ引きさせるより、よっぽど理解できる売り方だと思う。そもそもハイエンドのラグジュアリーブランドって、そういうもんでしょうよ。 またクーペとスパイダーの比率については、太陽バンザイの米国はスパイダー一辺倒、ドイツやオーストラリアではクーペ寄りなのに対し、日本はだいたい半々だそうだ。興味深いのが、一部スパイダーの需要が高いマーケットの変節で、普段は「オープン一択!」のイタリアでも、12チリンドリでは「このデザインを見たら……」とクーペの需要が高まっているとのこと。確かに“デルタウイングシェイプ”による独特の意匠は、電動ハードトップのスパイダーではかなり薄れてしまう。先に触れた12チリンドリの攻めたデザインは、カスタマーの間では存外ポジティブに受け止められているのだろう。 以上が、12チリンドリ発表会の、現場からのリポートである。マラネロにもついに電動パワートレインのプラントが完成したりと、ご多分に漏れず変革の真っただ中にあるフェラーリ。いっぽうでカランド氏いわく、「フェラーリがいつまで12気筒をつくり続けるかは、お客さまが決めること」とのことだ。 12チリンドリがフェラーリの伝統を体現する最後のマシンになるのか、あるいはシレッと歴史が続くのかはわからないが、「これは欲しい!」と心に火がついたティフォシさんは、難しいことは考えずに懇意のセールスマンに電話してしまいましょう。今月注文した場合の納車待ちは、18カ月以内だそうです。 (文=webCG堀田剛資<webCG”Happy”Hotta>/写真=webCG/編集=堀田剛資)
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