為替介入に一定の効果、過度な変動に対応するため実施-財務相
(ブルームバーグ): 鈴木俊一財務相は4日午前の閣議後会見で、政府・日銀が4月末から5月末までの1カ月間に総額9.8兆円の為替介入を実施したことを受け、「一定の効果があった」との認識を示した。
鈴木財務相は介入に踏み切った理由として「投機的な動きも背景とした過度な変動に対応するため」と説明。その上で、「引き続き為替市場の動向をしっかりと注視し、万全の対応を取っていきたい」と述べた。
同省は先月31日、4月26日-5月29日の為替介入額が9兆7885億円だったと発表した。月次ベースの介入額として過去最大を更新。円が34年ぶり安値水準の1ドル=160円台に急落した4月29日と、再び157円台に下落した5月2日に円買い介入を実施したとみられていた。
政府・日銀の為替介入、過去最大の9.8兆円-29日までの1カ月間
大和証券の石月幸雄シニア為替ストラテジストは、介入の効果については見方が分かれるとしながらも、「介入していなかったら1ドル=160円で円安が止まったかどうかも分からず、効果があったと言わざるを得ない。簡単には答えが出ない」と述べた。
日本銀行が3月に17年ぶりの利上げに踏み切った後も日米金利差を主因に円安の流れに歯止めがかからない中、鈴木財務相は介入も辞さない構えを示していた。一方で、介入の実施については明言を控えていた。日次ベースの介入実績は、4-6月分が公表される8月上旬にも判明する。
みずほ証券の山本雅文チーフ為替ストラテジストは介入をしていなければ「170円にいっていたかもしれない」が、実施したことで今の水準でとどまっていると指摘。12月に米国が利下げを開始すると予想し、ドル・円は上がっても160円くらいにとどまり、円買い介入は必要ないとみる。
日米間の金利差は依然大きい。米国のフェデラルファンド(FF)金利の誘導目標の上限5.5%に対し、日本の無担保コールレートは0.1%。日銀は年内にも利上げに踏み切ると予想されているが、米国の利下げ予想は経済が好調を維持する中、後退している。