冷たく降る雨の裏で、今年もアツいスーパーGTウエットタイヤ戦線。各社の新トレッドパターンがあらわに……ミシュランはGT500席巻したパターンをGT300でテスト
ミシュラン、かつてのGT500パターンをGT300でテスト
そして今季からスーパーGTはGT300のみの活動となり、3台にタイヤを供給するミシュランは、昨年までGT500で左右非対称パターン、GT300で左右対称の旧パターンを使用していた(GT500もかつてはこちらを使用していた)が、今季からはGT300でかつてのGT500のパターンを採用することを検討中で、テストでは両パターンの比較テストを実施した。 そもそも、GT500とGT300でパターンを分けていた理由について、日本ミシュランのモータースポーツダイレクターである小田島広明氏は次のように説明する。 「従来のパターンは、GT500でも良い結果が出ていました。(2022年に)新しいパターンをGT500でも導入したところ、より良い結果が出ましたが、(従来パターンでも)戦闘力は十分あったので、GT300は従来のものにとどめていました」 「パターンを変えると、コンパウンドや構造などを変える必要が出てきますし、パラメータも多くなりますが、GT500の場合は開発のステップを細かく踏むことができるので、色んなチャレンジができます。一方でGT300はテストの機会が少ないので、ステイをしようということでした」 「GT500の供給も終了して、(新パターンも)ある程度煮詰まってきている中で新パターンで走らせてみましたが、十分良いタイムが出ます。材料が少ないので300にも導入するかは悩んでいるところですが、今回比較をして決してネガティブではないという結果は出ているので、結論は出ていませんが、前向きには考えています」 もちろん、タイヤは溝の入り方だけではなく、コンパウンドや構造との合わせ技で性能が決まる。小田島氏は、他のメーカーも追随する左右非対称パターンは溝が少なく見える一方、雨量が多い時にも対応できるようなコンパウンドや構造にしているとのこと。「両パターン共に狙っているところはそれほど変わらないですが、アプローチが違うということです」と説明した。 ミシュラン不在のGT500のウエット戦線で覇権を握るメーカーは? GT300の勢力図はどうなる? もしかすると、ドライコンディションよりも気になる要素が多いかもしれない。
戎井健一郎
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