冷たく降る雨の裏で、今年もアツいスーパーGTウエットタイヤ戦線。各社の新トレッドパターンがあらわに……ミシュランはGT500席巻したパターンをGT300でテスト
岡山国際サーキットと富士スピードウェイで2度に渡って開催されたスーパーGT公式テストは、いずれも雨がちな天候となった。多くの関係者がドライコンディションでメニューを満足に進められなかったことを残念がったが、テストではブリヂストン、ヨコハマ、ダンロップ、ミシュランが持ち込んだ様々なトレッドパターンのウエットタイヤを見ることができた。 【写真】新トレッドパターンのタイヤも続々目撃! スーパーGT富士公式テスト:フォトギャラリー まずGT500クラスでは、ウエットコンディションで圧倒的な強さを誇っていたミシュランが供給を休止し、今季からGT300クラスのみの供給となった。したがって、ブリヂストン、ヨコハマ、ダンロップの3メーカーで争いが繰り広げられることになる。 まず、GT500では15台中12台にタイヤを供給し、シリーズ9連覇が至上命題とも言えるブリヂストン。彼らは、昨年のテストで投入したパターンを想起させる、斜めの溝が折り重なるように入れられたタイヤを持ち込んできた。 これまで雨量の多い路面で強さを発揮してきたブリヂストンは昨年、“ちょい濡れ”のダンプ路面でのタイヤ性能低下という課題を解決すべく、新たなトレッドパターンのタイヤをテストで投入した。そのタイヤは一定の手応えを得たようだが、「水量が多い際のパフォーマンスが落ち過ぎていた。それでも他社さん対比では劣っていなかったと思っていますが、安全第一ということを考えて(BSタイヤ開発責任者 山本貴彦氏)」ということで実戦での導入は見送られた。 そして今回のテストで持ち込まれたパターンのタイヤも、同じような方向性のように見えるが、よく見るとパターンに若干の違いも見受けられる。1年の時を経て新たに投入されたタイヤに関しては、ドライバーからそのパフォーマンスについてポジティブな声が聞かれている。 16号車ARTA MUGEN CIVIC TYPE R-GTの大津弘樹は「今回(模擬予選)のように、雨量が多くもなく、乾いていくようなコンディションにマッチしていて、ロングランしていく中でも安定して速く走れるタイヤ」だとコメント。14号車ENEOS X PRIME GR Supraの福住仁嶺も「思った以上に使えているかなと。ロングランもしましたが、急激に(性能が)落ちるような感覚もなかったので、意外と悪くないなという印象です」と語り、改善を実感しているようだった。今年こそ実戦投入なるかに注目だ。
【関連記事】
- ■悲願の初タイトルをトヨタで叶えられるか? テスト順調の14号車ENEOS福住仁嶺「1年目の僕を助けてくれるチームに結果で恩返しを」
- ■大クラッシュの翌日に新車が登場。スーパーGT富士テストでPONOS RACINGが見せた“ミラクル復活”の裏側
- ■たくさんの人の想いを乗せて。つちやエンジニアリングの“ホピ子”が再び富士の地へ。荒波が続く中、“船頭”土屋武士がまず見据えるは「生き残ること」
- ■超異色! ラジコン世界一からカート経験ゼロでレースの世界へ……たった3年弱でスバルのスーパーGTオーディションドライバーまで漕ぎ着けた奥本隼士とは何者か
- ■スーパーフォーミュラに乗りたい。野望を胸に、小山美姫は歩みを続ける「常に活躍して名前が挙がるように」