邦題は『エイリアン/やっぱあれが一番怖いじゃん!』にしていいと思います【みうらじゅんの映画チラシ放談】『エイリアン:ロムルス』『メリーおばさんのひつじ』
みうらじゅんさんの前に近々公開される映画のチラシを大量にお持ちして、グッとくるチラシを厳正にピックアップ。映画本編は観ていないので事前知識はほぼゼロ、頼りになるのはチラシ内の情報(と妄想)だけという状態で語っていただく、言いっぱなしの映画チラシ放談です。(ぴあアプリ「みうらじゅんの映画チラシ放談」より転載) 【全ての画像】『エイリアン:ロムルス』『メリーおばさんのひつじ』
『エイリアン:ロムルス』
── 今回の1枚目のチラシは、伝説のSFホラーシリーズ最新作『エイリアン:ロムルス』です。 みうら 「やっぱ『エイリアン』ってこれじゃないですか!」っていうチラシ写真じゃないですか。長くシリーズは続いてますが、やっぱり一番怖いのは、人の顔に貼り付くコイツじゃないですか? リドリー・スコット監督も、そもそもこんなものがいきなり飛んできて顔に貼り付くの、絶対イヤじゃんって発想で映画を始めたのでは。けど、1作目がヒットしちゃったことで、それ以外のことも出していかなきゃなんないっていう歴史があった。その間、いろいろと怖がらせてきたけど、この新作では、顔面に貼り付くヤツの連打でいこうと考えたのでは? ── 実はこの映画もう観たんですけど、だいたい合ってますね。 みうら だいたい合ってますか(笑)。 ── これって“フェイスハガー”って呼ぶんですけど……。 みうら そうそうフェイスハガーと言いましたね。かつて、プロレスラーのフリッツ・フォン・エリックが得意としたアイアンクローみたいなもんですよね。 ── いや、この形態の呼称がフェイスハガーなんですが、確かにかなりフェイスハガー祭りな印象はありました。 みうら (ジェームズ・)キャメロン監督の『エイリアン2』もすごく面白かったけど、やっぱりフェイスハガーの怖さにはかなわない。とうとうここに来て「やっぱアレの連打じゃん!」ってことになったんだと思います。 ── 原点回帰ってことですよね。 みうら だから、“ロムルス”っていうのは「やっぱあれじゃん!」っていう意味でしょう(笑)。邦題は『エイリアン/やっぱあれが一番怖いじゃん!』にしていいと思います。 ── デザインも潔いチラシですよね。 みうら 全くもって潔い(笑)。 ── もう余計なことを説明する気もないですね。完成形のエイリアンすら写してない。 みうら ですよね。 エイリアンをデザインしたのはH・R・ギーガー。僕らの世代はエマーソン・レイク・アンド・パーマーの「恐怖の頭脳改革」というレコードジャケットで知ってました。エロチックなんですよね、とても。 フェイスハガーも貼り付き面がかなり卑猥な形状をしてます。そんなもんが顔に貼り付いたら最後、取れませんからね。 ── 確かに勘弁してほしいですね。 みうら シリーズとしてはエイリアンがどうして誕生したのかに迫ってきましたけどね。そろそろ飽きてるんじゃないですか、みんな。 ── 前作『エイリアン:コヴェナント』と前々作の『プロメテウス』ですね。 みうら 原点回帰。単なるホラー映画に戻したのではないかと? 正直言ってファンは「待ってました!」ってとこでしょう。 ── チラシの裏面もストイックですね。 みうら 裏も情報がほとんどないですもんね。やはり貼り付きだけでやるつもりですよ(笑)。 ── 今回の監督はアナログが好きで、フェイスハガーもラジコン操作で襲ってくるから役者も相当怖かったらしいです。 みうら いやぁ、いいですね。ホラーはアナログに戻るべきですよ。もちろん僕は観ますよ。