ラリージャパン2024、DAY3土曜日にトヨタはヒョンデとのポイント差を15ポイントから11ポイントに縮める トヨタはWRC2にもチャンピオンの可能性
ラリージャパン2024のDAY3となる11月23日、SS10 Mt.Kasagi 1からSS16 TOYOTA STADIUM SSS 2まで7つのSS(スペシャルステージ)が行なわれるはずだった。しかしながら、すでに大きな報道となっているとおり、SS12 Ena 1に一般車両が検問を突破しコースに進入。SS12はキャンセルとなり、6つのSSで戦われることになった。 【画像】サービスパークでファンサービスを行なう勝田貴元選手 FIA(世界自動車連盟)が統括する国際格式の競技において、一般車が強行突破でコースに進入し競技中断となるのは極めて異例。残念な事態が起きてしまった。 これは、SSが行なわれることを前提に戦略を立てているチームにとっても残念な状況で、マニュファクチャラーズチャンピオンを争うTOYOTA GAZOO Racingは追い上げのチャンスを失い、ヒョンデは突き放すチャンスを失ったのかもしれない。 このDAY3はポイント上も大切な一日となり、この土曜日までで一旦ポイントが決まる。しかしながら、そのポイントは最終日となるDAY4、日曜日にリタイヤのない場合に確定となっており、ポイントの1つの積み上げ日となる。 DAY3では17号車 セバスチャン・オジエ/ヴァンサン・ランデが追い上げ3位に。一方、18号車 勝田貴元/アーロン・ジョンストンは速さを見せたものの5位へと後退した。また、DAY2でトラブルに見舞われた11号車 ティエリー・ヌービル/マーティン・ヴィーデガは、7位まで追い上げドライバーチャンピオンの可能性を高めた。 この結果により、DAY3土曜日までの獲得ポイントは、ヒョンデ550ポイント、トヨタ539ポイントとなり、最終戦前の15ポイント差を11ポイントまでに縮めた。シーズン最終日となるDAY4日曜日の結果でマニュファクチャラーズチャンピオンが決まることになる。 また、WRC2も激しい争いとなっており、クラストップはとうふ屋カラーが注目を集める21号車 ニコライ・グリアジン/コンスタンティン・アレクサンドロフ、2位はGRヤリス ラリー2の20号車 サミ・パヤリ/エンニ・マルコネン、3位は型遅れのWRC2マシンで驚異的な速さを見せる2024年の全日本チャンピオン 31号車 新井大輝/松尾俊亮。サミ・パヤリ選手は、このまま2位でDAY4を乗り切ってもWRC2ドライバーズチャンピオンを獲得する。トップカテゴリーのWRC1同様、激しい争いになっている。 DAY3 SS16終了時点 1位 オィット・タナック/マルティン・ヤルヴェオヤ(ヒョンデ i20 N Rally1 HYBRID) 2h39m48.0s 2位 エルフィン・エバンス/スコット・マーティ(トヨタ GR YARIS Rally1 HYBRID)+38.0s 3位 セバスチャン・オジエ/ヴァンサン・ランデ(トヨタ GR YARIS Rally1 HYBRID) +2m10.9s 4位 アドリアン・フォルモー/アレクサンドレ・コリア(フォードPUMA Rally1 HYBRID)+2m19.1s 5位 勝田貴元/アーロン・ジョンストン(トヨタ GR YARIS Rally1 HYBRID)+2m25.2s 6位 グレゴワール・ミュンスター/ルイス・ルッカ(フォード Puma Rally1 HYBRID) +3m07.1s 7位 ティエリー・ヌービル/マーティン・ヴィーデガ(ヒョンデ i20 N Rally1 HYBRID) +7m43.7s 8位 ニコライ・グリアジン/コンスタンティン・アレクサンドロフ(シトロエン C3 Rally2) +7m55.9s 9位 サミ・パヤリ/エンニ・マルコネン(トヨタ GR Yaris Rally2) +9m21.2s 10位 新井大輝/松尾俊亮(シュコダ Fabia R5)+10m12.6s ■ TOYOTA GAZOO Racing World Rally Teamコメント ヤリ-マティ・ラトバラ(チーム代表) 今日は順位をさらに上げるためにプッシュしました。エルフィンは午前中良い走りを見せ、オィットに少し近づくことができました。しかし、残念ながら午後はタイムを大幅に失ってしまったので、その理由を解明する必要があります。土曜日を総合2位と3位で終えられたのは良かったですが、トップであればさらに良かったでしょう。セブは今日、本当に調子が良く、チームが渇望していた総合3位まで追い上げてくれました。貴元に関してはセントラル・ヨーロピアン・ラリーの時と同様のパフォーマンスを期待していましたが、彼はそれを成し遂げましたし、明日はさらにアタックできる可能性があります。ここまでのところライバルたちよりも多くポイントを獲得できていますが、明日はスーパーサンデーとパワーステージで上位を狙い、人事を尽くして天命を待ちたいと思います。 エルフィン・エバンス(GR YARIS Rally1 HYBRID 33号車) 今朝はコンディションが簡単ではない中、とても良いスタートを切ることができました。午後もその調子を維持できることを期待していましたが、残念ながらそうはなりませんでした。クルマのフィーリングは悪くなかったのですが、低速のセクションで少し苦戦し、それが大きなタイムロスに繋がってしまいました。スピードが高いセクションでは問題なかったのですが、高速区間はそれほど多くありませんでした。今夜はチームと話し合って原因を究明し、明日に向けて正しい方向に進めるように努力します。明日は最後の追い込みをかけ、全力を出し切らなければなりません。 セバスチャン・オジエ(GR YARIS Rally1 HYBRID 17号車) 我々にとってはポジティブな一日でした。3本のステージで優勝するなど一日を通して最速でした。また、表彰台圏内に復帰しチームに多くのポイントをもたらすことが可能になりました。これ以上できることはあまりないと思います。もちろん、さらに多くを望みたいところですが、マニュファクチャラー選手権における我々のチャンスはシーズン最後の日まで残っているので、全力を尽くす必要があります。日曜日に最大ポイントを獲得できるようにプッシュし、運が我々に向くことを願うしかありません。ラリーでは最後まで何が起こるかわかりません! 勝田貴元(GR YARIS Rally1 HYBRID 18号車) 一日を最後まで走り切ることができて良かったです。これは自分にとってメインターゲットのひとつでした。午前中最後のステージではスピンをして数秒を失うなど、何度か難しい局面はありました。それでもクルマのフィーリングは良く、何度か良いタイムを出すことができましたので、全体的には悪くなかったと思います。明日はチームにとっても非常に重要な一日になると思いますので、さらに良いフィーリングを見つけ、集中して取り組む必要があります。
Car Watch,編集部:谷川 潔