社内での「聞いてない!」はなぜ起きるのか…上司と部下が「天の川の織姫と彦星状態」になる根本原因
トラブル対応に強い組織を作るには、どうすればいいのか。400以上の企業や官公庁に組織変革支援を行ってきた沢渡あまねさんの著書『悪気のないその一言が、職場の一体感を奪っている』(日本能率協会マネジメントセンター)より、一部をお届けする――。 【この記事の画像を見る】 ■「トラブル報告」にどう対応すればいいのか マネージャーやリーダーはチームのメンバーから日々、さまざまな報告を受けます。 その中には案件スタートの知らせもあれば、進捗状況を伝えるものもあるでしょう。 何事もタイムリーに伝達されていればよいのですが、中には業務がかなり進んでから、初めて報告が上がってくるケースもあります。 情報共有が遅れるのはよくはありませんが、それでも順調に進捗しているのであれば、余計な波風は立たないでしょう。 しかしときには、トラブルが起きてから報告がくるケースもあります。 ■つい「聞いていない!」と叱責しがち メンバー「すみません部長。じつはA社の○○さんとの間で、こんな問題が起こってしまいまして」 マネージャー「えっ?」 メンバー「先週○○さんからご依頼をいただいて対応していたのですが、お互いの認識に齟齬がありまして」 マネージャー「聞いてない!」 報告を受けて、初めて問題が発覚するパターンです。 私も過去に同様の経験をしました。このようなケースでは、マネージャーやリーダーは「知らない」「聞いていない!」と言ってしまいがちです。 しかし、報告が遅いからといって「私は聞いていない!」「なんでもっと早く言わないんだ!」とメンバーを叱責していたら、事態はますます悪化していくでしょう。
■部下が報告をためらうようになる 第一に、マネージャーとメンバーが「言った」「言っていない」の議論をしていては、目下の問題への対処が遅れます。それよりも解決を急ぎたいところです。 次に、報告しても叱責されるだけで、マネージャーが問題解決の方法を一緒に考えてくれるわけでもなければ、メンバーは次に同じような事態に陥ったとき、報告をためらうようになるかもしれません。 ひょっとして、常にそのような関係性にあり、マネージャーが関与するといちいちめんどくさいから、今回もメンバーは自分だけで解決しようと試みてしまったのではないでしょうか。 ■「問題を抱え込む組織風土」が醸成されてしまう 自分一人でトラブルを収束させてから、事後報告しようと考えるかもしれない。これでは問題を一人で抱え込む組織風土が醸成されてしまいます。それは組織として不健全ではないでしょうか。 目の前の問題を早く解決するためにも、同じ過ちを繰り返さないためにも、対応を変えたほうがよいでしょう。 メンバーから「機を逸した報告」が上がってきたとき、マネージャーやリーダーはどのように返答すればよいのでしょうか。 「聞いてない!」「どうして早く報告してくれなかったのか」 その一言を言いたくなる気持ち、私も本当によくわかります。私もそのような発言をしてしまった経験があります。 しかし、そこで衝突していては、メンバーとの関係性も職場の風土もよくならないです。