世界貿易システムを襲う“爆売り中国”の衝撃|週末に読みたい海外メディア記事4本|2024.3.23-3.29
Alberto Masnovo/stock.adobe.com
今週もお疲れ様でした。トランプ氏が米大統領になった場合、世界の貿易体制が受けるダメージについては様々な考察がなされています。自称“タリフマン(関税男)”は先日もメキシコで生産された中国車に「100%の関税を課す」と表明、メキシコとの貿易協定(USMCA=米国・メキシコ・カナダ協定)など知ったことかというところでしょうが、貿易体制の行方についてはもう一つ見逃せない論点があります。中国です。 中国の李強首相は全人代開幕初日の3月5日、政府活動報告要旨の中で中国経済の現状について、「有効需要が不足し、一部産業の生産能力が過剰で、成長期待が相対的に低い」と語っています。過剰生産の一方で政策的に工業生産能力増強を進める姿勢は明らかな矛盾を孕んでいますが、中国にとっては対米競争に勝たねばならぬという事情もあるでしょう。 さりとて国内は需要不足。結果、溢れるモノは国外市場を目指します。すでにEV(電気自動車)輸出をめぐる軋轢が欧州で顕著になっていますし、4月に予定されるイエレン米財務長官の訪中も中国の生産能力増強問題がメインテーマと目されます。対中貿易に「壁」を高くしようとしているのは西側先進国に限りません。ブラジル、インド、南アメリカなどにもアンチダンピングの動きは広がっていることを英エコノミスト誌は伝えますす。
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