粉末系プロテイン市場がレッドオーシャン化 コロナ禍明けの市場参入増加
粉末系プロテイン市場がレッドオーシャン化している。コロナ禍が明けてフィットネス需要が急回復し、主戦場のアスリート向けで競争激化。市場が飽和状態になる中、各社は一般ユーザーの開拓に乗り出しており、中でも女性の美容にフォーカスして、化粧品メーカーが相次いで市場に参入してきている。
女性向けの付加価値商品も相次ぎ登場
経済産業省の「特定サービス産業動態統計調査」によると、フィットネスクラブ利用者数は20年のコロナ禍に延べ1億7000万人と落ち込んだものの、翌年以降、健康志向の高まりなどから右肩上がりに増加。23年は延べ2億1800万人に回復しており、直近24年1~10月累計で延べ1億9000万人に上り、年間で前年比を上回る見通し。この勢いに乗る形で、粉末系プロテインのニーズが拡大している。 こうした中、プロテインはアスリートだけのものではないという認識も広がり、化粧品メーカーも市場参入。スタイリングライフ・ホールディングスBCLカンパニーは4月、夜に飲む美容プロテイン「オヤスミタンパク」を投入した。睡眠が美容の質を高めることに着目したユニークな商品で、GABAに加えて成長ホルモンの元となるアミノ酸をはじめ、乳酸菌、ソイプロテイン、コラーゲンペプチドなどを配合している。成長ホルモンは入眠3時間で最も分泌されるといわれており、肌のターンオーバーの促進や日中の紫外線などからのダメージを修復する働きが知られている。 コーセーは9月、新インナービューティブランド「Nu Rhythm(ニューリズム)」を立ち上げ、一般向け美容プロテイン「イーストプロテイン アソートセット」の販売を開始した。主原料として、パン酵母から抽出した酵母プロテインを配合。また、森永製菓のパッションフルーツ種子エキス「パセノール」を採用したほか、11種類のビタミンやコラーゲンペプチド、乳酸菌、GABAを配合している。同社としては本格的な食品事業への参入となり、忙しい毎日の中で、手軽に摂取できるよう個包装タイプとし、シェーカーなしでも摂取できる溶けやすさにこだわった。 美容観点では、大豆イソフラボンの働きも期待できるソイプロテインに着目した商品が増えている。老舗味噌メーカーの小西本店は、国産の米麹味噌「神倉」と同じ大豆を使用した「神倉大豆のプロテイン」を新規事業として展開。大豆は超微粉砕しているため、溶けやすく、すっきりした飲みやすさ。WinWinの「極HINAKO 原種大豆と金ゴマ」は、熊本県在来種「八天狗大豆」を採用し、非酸化技術で焙煎。天然の原種大豆と風味豊かな金ごまの組み合わせで自然な味わいにこだわっている。
日本食糧新聞社