マッチも亜久里もチームを率いて参戦! なぜトムスは「EVカート」に本気なのか?
「頂点を光らせる」ことの重要性
これらの課題克服として形作られたのが、全日本カート選手権EV部門だ。これまでの2シーズンはテスト的なシーズンで、3シーズン目の今年が本格的なシリーズの開幕となる。現時点では参戦チームのオーナー、スポンサーに依存する形ではあるが、参加選手はエントリー費程度で競技に参加できるようになるのが理想だと、トムスの谷本氏は語る。 ただし、参加障壁を取り払うだけでは有力な選手の育成にはつながらず、「頂点を光らせる」ことが重要だという。参加しても上を目指せなければ意味がない。全日本カートを経て四輪レースでも活躍できることを証明し、憧れの存在になってもらう、つまりは目指すゴールの頂点が光っている必要があるということだ。 野球で言えばメジャーリーグで活躍する大谷選手が最たる例だろう。あのような活躍を見せるために、それまでどのような経験を積んできたのか誰もが知りたくなる。野球を始めてみようと思う人も出てくれば、試合を見に行こうと思う人も現れる。野球選手を目指す子どもたちだって増える。そういった好循環を生み出すためには光る存在が不可欠だ。 その好循環をモータースポーツ界で起こすためには、原点のカートがもっと身近でなければならない。長年モータースポーツの強豪に位置するトムスが、EVカートに取り組む趣旨はそこにあると筆者は理解し、ようやくモヤモヤとしたものが取れた気がした。 発表された趣旨に賛同し、2024年の全日本カート選手権EV部門に参戦するのは6チーム12台。6月の開幕を前に、発表会に続いて事前オーディションを勝ち抜いた参戦候補生の所属先を決めるドラフト会議が開催された。近藤真彦、鈴木亜久里といったビッグネームが揃う参戦チームや、選出されたドライバー、さらには関係者にEVカートの印象や今後の展望をインタビューしているので、それは次の機会に報告させていただこうと思う。 全日本カート選手権EV部門の開幕戦は宮城県・スポーツランドSUGOにて、6月15日(土)・16日(日)の両日決勝で開催される。
斎藤充生