株価低迷の日産はなぜ「ひとり負け」しているのか…?社員を苦しめる「ゴーン体制の負の遺産」の正体
アクティビストの影
また、内田氏は11月から役員報酬の50%を返上すると表明したが、その内訳も手ぬるいと言わざるを得ない。氏の2024年度の報酬は6億5700万円もあり、半分返上しても3億円以上が入るのだ。一部社員からも「リストラ企業の社長が3億円もらっていたら、株主や世間に説明がつかない」との声が出始めている。 役員報酬は基本報酬と業績連動分で構成されるので、2023年度の実績が反映されているとの反論もあるだろうが、6億円を超える当初の報酬額自体が、そもそも妥当なものなのか。トヨタの佐藤恒治社長の2024年度の役員報酬は6億2300万円で、ホンダの三部敏宏社長は4億3800万円。日産に比べて業績のよいトヨタやホンダの社長よりも、日産の社長のほうが報酬が多いことには違和感を覚える。 決算発表後に一時落ち込んだ日産の株価は、5日後の11月12日、前日比で一時21%も急上昇した。半期報告書でアクティビストが株式を取得したことが分かり、リストラやガバナンス改革を期待しての思惑買いが広がったようだ。これまで述べてきたような体たらくの経営をしていては、アクティビストに狙われるのは当然の流れだ。 日産の経営は、大きな修羅場を迎えようとしている。 「週刊現代」2024年12月7・14日合併号より ……・・ 【もっと読む】異変の兆しか…? トヨタ株主が白昼堂々「豊田章男を批判」それに対する章男会長の「驚愕の回答」
井上 久男(ジャーナリスト)