ホンダが〝らしさ〟追究する次世代ハイブリッド車、搭載する「五感に響く」新技術
ホンダが開発を進める次世代ハイブリッド車(HV)は、構成部品の刷新など新技術を多く搭載する。燃費の良さという環境性能と、上質で爽快な走りという走行性能を両立する独自の2モーター・ハイブリッドシステムの強みを磨き上げるとともに、“らしさ”を追求し「『五感』に響く移動の喜び」を新たな価値として提供し商品力を高めていく。 【写真】ホンダが開発を進める次世代e:HEVシステム 「全力を挙げて新しいハイブリッドモデルを作り、時代に名を残す商品を世の中に出したい」。林克人執行役四輪事業本部長は次世代ハイブリッドシステム「e:HEV」への思いをこう語る。突き詰めた思いが「五感」に響く技術。移動の喜びを技術の力で実現する。その基盤となるのが構成部品の進化だ。 次世代システムで排気量1498cc/1996cc直噴エンジンとフロントドライブユニット、統合冷却システムなどを新たに開発する。今後の環境規制を見据え、エンジンでは出力と燃費性能を両立。ドライブユニットは小型化と高効率化に加え、小型・中型双方で共通部を増やすことでコスト低減につなげる。 また電気自動車(EV)と共用可能な電動全輪駆動(AWD)ユニットを、次世代e:HEV搭載車種から採用する。最大駆動力を高めて発進加速性が向上するほか、加減速・旋回時のタイヤの駆動力配分を最適化。多様な路面状態でもライントレース性や操縦安定性を向上し、意のままの走りを実現する。 e:HEVの進化に合わせて中型プラットフォーム(車台)も全面的に刷新する。操縦安定性と軽量化を実現する新しいボディー剛性マネジメントを採用。旋回時に車体をしならせる挙動でタイヤへの荷重を制御し、軽快で気持ちの良い走りにつなげる。重量を現行比で約90キログラム軽量化するほか、共通部と独自部を作り分けてシリーズ開発することで、同プラットフォームを採用する車両で60%以上の共用化を目指す。 ホンダの4輪事業は約60年の歴史があり、HV事業は1999年のHV「インサイト」発売以来、25年間提供している。だが「誰もが思い浮かべる代表的な当社の商品は純ガソリン車が中心」(林執行役)であり、HVでの存在感を発揮したい思いがある。 2040年にEV・燃料電池車(FCV)販売比率100%の目標を掲げるが「EV本格普及期まではハイブリッドが架け橋」(同)であり、収益性の高いHVは将来の原資だ。競争力のあるEVの仕込みと同時に、HVの進化にも全力で取り組む。