ヒョンデ、新たな中長期戦略 2030年に年販555万台 10年で13兆円投資
ヒョンデは2030年までに23年実績比で3割増となる年間555万台の販売を目指す。このうち200万台は電気自動車(EV)とし、計21車種を展開する。ハイブリッド車(HV)も現在の7車種から14車種に倍増させる。ソフトウエア・デファインド・ビークル(SDV)や水素事業にも力を入れ、33年までの10年間で計120兆5千億ウォン(約13兆円)を投じる。30年には営業利益率10%以上を目指す。 28日、投資家向けイベントで新たな中長期戦略「ヒョンデウェイ」を発表した。足元のEV需要の減速にはHV車のラインアップ拡大で対応する。HVは北米を中心に28年に133万台を世界で販売する計画。燃費性能を高めた新型HV機構を25年1月に投入するほか、前後にモーターを持つ独自のレンジエクステンダー機構付きEV(EREV)を26年から量産する。 EVは30年ごろの販売拡大を見据える。同年までに4ブランドで21モデルを展開する。車載電池と車体を一体化して車重を1割軽くするほか、30年には安価なNCM(ニッケル・コバルト・マンガン)電池を実用化し、エネルギー密度も2割高める。電池の競争力を強化し、EV販売は27年の84万1千台から30年には200万台へ増やす。 また、北米工場は予定を前倒して24年に開設するほか、韓国のEV専用工場、インドの工場新設などで生産能力を100万台分増強する。 SDV化も進める。26年下半期に新たなE/E(電子/電気)アーキテクチャーを用いた車両を発売し、アプリストアも導入する。EV展開と並行してECU(電子制御ユニット)の統合・集約と「ゾーンアーキテクチャー」の導入を進める。自動運転も「レベル4(特定条件下における完全自動運転)」の無人運転タクシーを26年に北米で運行させ、31年以降には欧州やアジアへの展開を目指す。 燃料電池車(FCV)も商用車を中心に開発を進め、韓国やポーランド、インドネシアに水素製造拠点を設ける。 研究開発には54兆5千億ウォン(約5兆9千億円)、製造設備には51兆6千億ウォン(約5兆6千億円)をそれぞれ投じる計画だ。 張在勲(チャン・ジェフン)CEO(最高経営責任者)は「現代ならではの柔軟な対応で、モビリティとエネルギーを中心とした戦略的ポジションを確立する。エネルギー転換時代においても世界トップレベルを維持する企業へと変革する」と語った。