240年以上の歴史を守る 東京・船堀「天然温泉あけぼの湯」3つの魅力
入浴料460円で味わえる日本人のプチ贅沢。その魅力を次の世代につなげようと、がんばっている銭湯がある。今回ご紹介する銭湯は、江戸川区船堀にある「あけぼの湯」。銭湯の開業は、今から遡ること240年以上前の安永2(1773)年。江戸幕府第10代将軍徳川家斉が誕生した年というから驚きだ。現在は19代目の嶋田照夫さんご夫妻が、この歴史ある銭湯を守っている。
「あけぼの湯」の祖先は、戦国時代は北条家の家臣、そして北条家が豊臣秀吉に滅ぼされた後は、船問屋を営んでいた。嶋田照夫さんは「江戸城内に出入りする船の積み荷や客を取り締まっていた舟番所が、中川と小名木川、船堀川が交差する辺りにあったのですが、幕府は、治安維持のために夜間の運航を禁止したため、舟番所を前に、足止めされた船頭や人足たちが、船堀界隈に多く集まってきたそうです。その人たちのために、銭湯も営み始めたのが安永2年です」と話す。
しかし、嶋田さんはその歴史にあぐらをかくことなく、常に訪れる客に銭湯の魅力を伝えるべく、工夫を凝らして来た。「現在、東京で自家風呂がないお宅はわずかに3%です。つまりその方たちだけを相手に商売していたのでは、銭湯経営は成り立ちませんからね。常に、新しいお客様にご自宅のお風呂では味わえないさまざまな銭湯の魅力を伝えていこうと考えています」。
「あけぼの湯」の一つ目の魅力は、天然温泉であること。東京で湧き出る温泉の多くは、「黒湯」であるのに対して、「あけぼの湯」の温泉は無色透明だ。東京にいながらにして、温泉に浸かって手足を伸ばして温泉を楽しむ。まさに贅沢の極みだ。
二つ目は、1階、2階に広がる広い洗い場とさまざまな種類のお風呂。1階は、天然温泉が楽しめるだけでなく、1.2メートルもの深さがあるハイパワージェットバス、寝湯、電気風呂、そして露天風呂。2階は、岩盤泉、牛乳風酵素風呂、座風呂、リラックス風呂、マッサージ風呂。別料金ではあるが、遠赤外線ガス、スチームのサウナも設置されている。