240年以上の歴史を守る 東京・船堀「天然温泉あけぼの湯」3つの魅力
そして三つ目は、休憩室に設置された食事処。なんと、風呂上がりに冷たい生ビールや本格的なつまみが楽しめるという。休日には、ロッカーが埋まってしまうほど、たくさんの客が「あけぼの湯」を訪れるそうだ。
「ご近所はもちろん、少し離れたところから自転車や自動車で来てくださるお客様も多いです。毎日、片道1時間半かけて、自動車で通ってくださる方もいらっしゃいます。ご高齢の方、仕事を終えた職人さん……、日課にされているのか、皆さんだいたい同じような時間にお見えになります。週末は家族連れのお客様も増えています」。
とはいえ、広さ、風呂のバリエーション、快適さなどを客に提供しようとすればするほど、その分、かかる費用も労力も増えていく。普段の開店から閉店までの時間は、奥様と交替で必ずフロントに座ることにしているという嶋田さんは言う。「新しいことを取り入れるのはもちろん、定期的に配管を交換することも必要になりますから、その度にかなりの費用がかかります。また、開店前、閉店後の掃除など風呂屋の仕事は重労働ですからね。今は、週1度、お休みをいただいていますが、歳を取るにつれて、それでは疲れが取れなくなってきました」。 経営者の高齢化が進む今、どこの銭湯も同じような悩みや課題を抱えていることだろう。その苦労を間近で見ている子供世代が、後を継ぐことを躊躇し、結局は銭湯が廃業に追い込まれてしまう現状がここにあるのだろう。
「せめて月に1度は連休にして身体を休める日を作ったり、将来的に私は経営に専念できる状態を考えたり、東京で一番古い銭湯の灯を消さないように、まだまだがんばっていきたいと思っています」 年々、銭湯の数は減っているなか、その反対に、銭湯の魅力を再発見、あちこちの銭湯に通う姿も見かけられるようになった。さまざまな問題に立ち向かいながら、ファンの気持ちに応えたいという銭湯主の奮闘は続いている。 ---------- あけぼの湯 所在地:東京都江戸川区船堀三丁目12番11号 電話番号:03-3680-5611 営業時間:午後3時半~午前0時 日曜日・祝日は午後2時~ 定休日:木曜 ホームページ: