スペックダウンでも「Xperia 1 VI」に触れて“納得”した理由 「らしさ」を犠牲にして得たもの
画面比率や解像度が大きく変更されて話題を呼んでいるソニーの最新スマートフォン「Xperia 1 VI」。今回はXperia 1シリーズを全て使ってきた身として、最新のXperia 1 VIについて思うことを書き連ねたい。 【画像】スペックダウンでも納得した理由
「4Kディスプレイの廃止」「カメラアプリの統合」など大きな変化
今回のXperia 1 VIで大きく注目されたのが、画面比率と画面解像度の変更だ。Xperia 1 VIでは画面比率が19.5:9、画面解像度は1080×2340ピクセルのフルHD+に変更された。従来までは21:9比率、解像度は1644×3840ピクセルの4Kだったこともあり、この変更には「グレードが下がった」という意見が多かった。 筆者としてもXperia 1シリーズはもちろん、2015年発売の「Xperia Z5 Premium」から築いてきたアイデンティティーであった4K解像度の廃止という選択は、Xperiaの強みの1つを失ったように感じた。 4K解像度のスマホが出はじめたころは「4K画質で記録し、4K画質で再生できる唯一のスマートフォン」として注目されていたが、その強みも同時に失われることになる。 また、今回の決断によって「スマートフォンには4K解像度の画面はまだ必要なかった」と暗喩されたようにも感じた。これはソニー以外の他メーカーが追従してこなかったことから、おおむね察することができたが、4K解像度ディスプレイの旗振りをしたソニー自らこのような決断に至ったところは、やはり残念だといわざるを得ない。 Xperia 1以降の21:9アスペクト比のディスプレイは、シネコン比率の動画を黒帯なく再生できることはもちろん、画面分割時に1:1で分割できるなど、スマホとしても利用しやすいことをアピールしていた。縦長のため、ブラウジングやSNSでも表示できる情報量が多いことから、縦向きのテキストコンテンツの閲覧には向いている仕様だった。 今ではGalaxy Z Flip5をはじめとした一部のフリップタイプのスマートフォンがこれに近い比率を採用する。横幅をシェイプできるなどの利点もあり、今思えば先見の明があった。 今回の大きな変化の1つが、カメラアプリの統合だ。Xperia 1シリーズは「Cinema Pro」「Photo Pro」「Video Pro」の3つを用途に合わせて使えるようにしていた。これはソニーにしかできない強みで、業務用機材のUI(ユーザーインタフェース)をスマホ向けに最適化し、同じような環境で撮影できることをアピールしていた。プロカメラマンが「サブ機材」として使えるレベルを目指していたのだ。 Xperia 1 VIでは、これらのアプリが統合されて1つになった。より一般的になったといえば響きはいいが、中身はガラッと変わった。そのため、操作画面も変更されたものや、削除された機能もある。特に操作性の変更は「カメラのようなUI」を求めていた従来のファンにとっては悩ましい。