ニーズ先取り、ヒット家電生むコツ 145万台売れた回転モップクリーナー
家電市場は買い替え需要が中心と言われる。そんな中、顧客の生活仕様の変化に合わせて、これから欲しくなるような製品づくりを実践しているのが、1997年設立のシー・シー・ピー(東京都台東区)だ。 【関連写真】取材に応じた早崎マネージャーと横治社長 2015年に発売した「回転モップクリーナー」は、シリーズ累計145万台(24年8月時点)を販売。フローリングが主流の住宅環境が広がる中、床の水拭きの負担を軽減し顧客の心をつかんだ。横治一也社長は「ニーズに応えることと、ニーズがあるだろうと思うことにアプローチする」と話す。 顧客の声を取り入れ、回転数や重量などの改善を続けている。ウッドデッキや風呂掃除の需要にも対応。横治社長は「社員は、お客さまが不満を抱えていることに我慢できない」とし、「改良することでターゲット層が変わることもある」と話す。 来年春ごろには、新たに小型ハンディクリーナーも発売予定。冷蔵庫の中の野菜のかけらや粉末汚れなどを掃除したいという発想から生まれた。 製品開発に携わった、事業統括部営業企画チームの早崎希代子マネージャーは「床を吸うクリーナーで掃除するのは抵抗がある」とし、キッチン専用クリーナーの企画が立ち上がったと説明する。 キッチンに設置しても違和感がないように電動ミルのような外観にした。USBタイプCの給電で、ブラシレスモーターを採用し、吸引力も兼ね備える。 これまでのハンディクリーナーなどの開発で培った技術を結集させた。エンジニアが設計し、アイデアを形に落とし込んだ。早崎マネージャーは「小型のため空洞がなく、すぐに熱を持ってしまうところを改善するのが大変だった」と話す。
◇モノづくり加速へ
今の時代に必要とされるモノづくりを重視する同社は、10月1日にデンキョーグループホールディングス(HD)の子会社になった。 家電や日用品などの企画・製造や、仕入れた商品の販売をするデンキョーGHDを生かし、家電開発に力を入れていく。横治社長は「家電のターゲットユーザーと距離が近くなり、より製品にも反映させやすくなる」と前向きだ。 需要を先取りする姿勢も加速させる。これまでの家電で満たされる需要もあるが、より便利に快適になる製品の開発を目指している。「少し先のニーズをとらえて提案する企業でありたい」と横治社長は力を込める。 デンキョーGHDのグループ会社になる前は、バンダイのグループ会社だった同社。キャラクターを使った小物家電を数多く生み出してきた。見ていると幸せな気持ちになるようなキャラクター製品の開発にも継続して取り組み、顧客とともにモノづくりを進化させていく。
電波新聞社報道本部