ユネスコ無形文化遺産に登録された泡盛 熟成技法「仕次ぎ」と味わいを高める「酒器」でさらに魅力的に
泡盛や日本酒、焼酎などが、日本の伝統的酒造りとして2024年12月5日、ユネスコの無形文化遺産登録に登録された。 【画像】泡盛の味わいを引き出すカラカラとちぶぐわー 登録を記念して、子や孫の世代に熟成した泡盛の味を受け継ごうと自宅で仕次ぎを行う愛好家や、専用の酒器を使った香り高いクースの楽しみ方など魅力を紹介する。
コレクションの中でも購入できない泡盛
30年ほど前に古酒のまろやかで芳醇な味わいにどっぷりとはまった泡盛愛好家の比嘉繁光さん。その自宅はさながら泡盛博物館だ。 沖縄テレビ稲嶺羊輔アナウンサー: 沖縄の全酒造所の泡盛ですか? 泡盛愛好家 比嘉繁光さん: そうですね。47酒造所の代表的な泡盛を集めています 泡盛愛好家の中で幻の酒と呼ばれる波照間島の「泡波」など、県内全酒造所の泡盛を10年ほどかけて集めた。 泡盛愛好家 比嘉繁光さん: やっぱり達成感ありますよね、一つずつ埋めていって コレクションの中でも特に思い出深い泡盛があります。それは… 泡盛愛好家 比嘉繁光さん: 泡盛の女王になったらこの甕が貰えるんですよ。それでこれを貰いたいがために娘にお願いして「出ないか」って話をしたら「お父さんが応募するならいいよ」ってことで、私が願書を出したんです 娘の愛子さんは見事2007年に泡盛の女王に選ばれ、比嘉さんは欲しかった甕を手に入れることが出来ましたが、特別な日に味わおうとまだ甕はあけていないそうです。 比嘉さんは、「娘の子どもの誕生日にでもあけようかと思います」と笑顔を見せていた。
琉球王朝時代から受け継がれた熟成方法
比嘉さんのコレクションは、泡盛の種類もさることながら、圧巻なのは、所狭しと並べられた泡盛の入った大きな壺や甕。 そのすべてが、壺屋焼の名工の小橋川勇さんの作品で、保管している泡盛は一升瓶に換算しても1000本近いという。 比嘉さんは「飲むだけじゃなくて継承していく」「子々孫々に残していって100年古酒(クース)になればいいなと思う」と話す。 上質なクース作りのために比嘉さんが自宅で行っているのが、琉球王朝時代から受け継がれてきた仕次ぎと呼ばれる熟成方法。 一番年代の古い泡盛を親酒として、二番・三番甕にはその次に古い泡盛を用意する。 親酒は特別な日に甕から少量を取り出し、味・香りを存分に楽しんだ後、二番甕から親酒へ、三番甕から二番甕へ、最後に仕次ぎ用の一升瓶で三番甕へお酒を継ぎ足す。 仕次ぎを行うことで親酒に刺激を与えて活性化させ、より質の高い古酒に育てていくことが出来ると話す。 仕次ぎをしながら我が家の酒の味となり、その味を受け継いでいく泡盛の文化は「家酒家宝」と 呼ばれている。 泡盛愛好家 比嘉繁光さん: 無形文化遺産登録は沖縄県民として誇らしいですよ。泡盛は年数を寝かせれば寝かせるほど美味しくなるし、価値も上がってくるわけですからね。より良い甕で良い酒を子々孫々、子や孫に残して行きたいなと思っています